週末の娯楽
十時くらいに起きて朝食兼昼食をダラダラと食べる。一通り掃除を済ませた時点でまだ十四時半だった。せっかくの休日だというのにこれだけで終わってしまうのは勿体無くて、シャワーを浴びてメイクをする。買い物がてら夕飯は外で食べることにしよう。こうして、私の週末の娯楽は夕方から始まった。
目的の駅を出ると空はもう薄らと暗くなっていて、駅前の広場は身を寄せ合って歩くカップルで溢れていた。もう何年も恋愛はしていない。彼氏がいた頃は、週末くらい一人の時間が欲しいと思ったこともあった。しかし今は、たまに人肌が恋しくなる時がある。そんなワガママを心に秘め、何食わぬ顔で私は一人街を歩く。
必要な物は当然買う。
必要では無いが、つい買ってしまった物もある。それらは心を満たすのだから、最終的には必要だった物になる。
面倒がらずに来て良かった、と密かにテンションが上がった勢いで前から気になっていたお店で夕飯も外で食べていくことにした。
そのお店は内装はショットバーのようなのに、お酒と和食が楽しめるらしく、いつか行ってみたいと思っていた。本当は特別な日に、とか特別な人と、なんて考えてもいたけれど、今日のこの幸せな気持ちなら存分に楽しめる気がする。
中の様子が全く見えない重いドアを開けると、お出汁の良い香りが漂っていた。
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