チョコの無いバレンタイン
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大学二年の冬休み中、同じ学科で一つ上の先輩と付き合うことになった。
先輩は身長が俺より30センチ以上小さく、顔もどちらかと言えば童顔、そのくせ身体は出る所が出ている、その上煙草まで吸うという漫画のキャラクターのような女だった。そんな先輩に惹かれないはずも無く、俺から告白したのが年明けすぐの事だった。
付き合って早ひと月が過ぎたとある休日、その日はバレンタインだった。別に好んで甘い物は食べないが、何か特別な事があるのではないかと浮ついている自分がダサくて嫌いだ。そんな日に限って先輩が一人暮らししているアパートで過ごさないかと言われるものだから、何て罪な女だろうと思った。
家の前まで送ったことはあるが部屋の中に入るのは初めてで、インターホンを押す指が無意識にピンと伸びているのにムカついた。そしてゆっくりとドアが開くと、大きな目に見上げられる。それと共に視界に飛び込んできたのは、所謂〝もこもこ〟の部屋着を着た彼女だった。普段は割とシンプルな服を着ていることが多く、そのギャップと似合いすぎていることに動揺を隠せない。
『いらっしゃ〜い。入って〜』
「お、お邪魔します…」
玄関に一歩踏み入れた途端、良い香りがふわふわと漂うのが分かった。しかも甘ったるくて重たいにおいではなく、スッと通るような軽い香りだったことに心臓を鷲掴みされた気になった。
「なんやええにおいするな」
『あー、さっきシャワー浴びたからかな』
「そうか」
〝そうか〟だなんてクールぶった言葉を出したが、色々ともう限界でそうとしか言えなかったというのが本当のところだ。
ワンルームの小さなにはシングルベッドが置いてあり、それが妙に存在感を放っていた。下心が無い訳ではないが、先輩が寝ているベットだと思うと何だか生々しくて意識していまう。
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