大阪バレンタイン事情
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『あー、私も何か食べたなってきた。ちょっとコンビニで買って来よかな』
名前がそう言って立ち上がると、板倉が大きなお盆を抱えてやって来た。
「皆さん、お茶にしませんか?」
『うぉぉぉ!ナイスタイミング!!』
板倉がテーブルにお盆を置くと、ブル大佐も身を乗り出して見ようとした。
「ソースは食べられへんで。チョコやからな。あ、皆さんコレ母からです。ささやかやけどバレンタインです〜だそうで」
少し恥ずかしそうにそう言いながら出された小皿には、手作りのブラウニーにバニラアイスが添えられた洒落たお菓子が乗っていた。
『あー、今日バレンタインかぁ〜。もうそんな季節なんやなぁ』
呑気にアハハと笑い、目の前のブラウニーに気を取られている名前を見てバレンタインチョコを用意していないことが悟られたようだ。岸本と土屋は目を見合わせ、それを見兼ねた南は思わず小声でこう言った。
「そもそも別に毎年貰ってへんけどな」
「…そういやそうやな」
「いやぁ、お年頃やし、そろそろあるかなぁ思て」
三人でコソコソ話していると、輪の中にブル大佐のおとぼけ顔がニュッと入ってきた。
『諸君、オヤツは要らんのかね?!早よせんと私が食べてしまうぞぉ!』
声色を変えた名前がブル大佐を抱えながらそう言った。その様子を見て三人の表情は和む。
「アホ。全部食うたら太るで」
「ほな頂こか。板倉ママの手作りお菓子って初めてやねぇ」
テーブルの方に向かう岸本と土屋を見ながら名前は南に近付き、小さく言った。
『おかげさまで治りました。おっちゃんに宜しう伝えてな』
「おー。アレやな。チョコの一つでもあげたら喜ぶんちゃう」
『おー!ええな、ソレ!帰り買ってこか!』
ニッと歯を出して笑う名前の笑顔は幼い頃から変わっていなかった。
「お前はそのまんまでええと思うで」
『は?何よいきなり』
「…早よ行かんと食われてまうで」
『あ!実理!それ私のやからな!』
という訳で、名前の初めてのバレンタインをあげるお相手は南のお父さんに決定したのであった。
炬燵を囲んで食べるブラウニーは程よい甘さで美味しかった。一緒に出された紅茶も上品で皆無言で食べていた。
結局バレンタインも、大阪は平和であった。
おわり
あとがき→