大阪バレンタイン事情
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実は昨日の夜、閉店間際に名前が南龍生堂にやって来た。普段からは想像出来ない程の深刻そうな面持ちに、南は只ならぬ事だと察する。
「どないしたん。何かあったか?」
『いや、今日は烈やなくておっちゃんの方やねん』
どうやら何かしら薬を買いに来たらしく、名前はカウンターにいる南の父の方に行った。そして南に聞こえないくらいの声で何かを話すと、南の父は棚から薬を選び、紙袋に入れて渡した。
「大丈夫やと思うけど、しんどかったら病院行くんやで」
『分かった。おおきに』
名前は南の父に会釈した後、南にも手を振って店を出た。その後を南はすぐに追い掛ける。
「送ったるわ」
『えー、ええよぉ。すぐそこやん』
そう言いながらも南と名前はゆっくりと並んで歩いて行く。そして曲がり角に差し掛かった時、南は静かに話し始めた。
「お前、どっか悪いんか?病院とか何とか言うとったやん」
『……誰にも言わんでよ…?』
名前は足を止めた。そして周りに人がいないことを確認し、小さな声でこう言った。
『高いとこの物取ろうとして踏み台から落ちてお尻打ってもーて…座るとめっちゃ痛いねん』
「…は?ケツ……?」
『そ、想像すんなや!スケベ!』
名前は恥ずかしくなり、南のお尻を思い切り叩く。そしてちょうど家の前だったため、逃げるように玄関に走って行った。バタンッとドアが閉まるとすぐに名前の部屋の電気が点き、窓が開いて顔を覗かせる。
『おやすみ、アホ烈』
少し恥ずかしそうに小さな声が夜道に響く。それを見た南は吹き出し、小さく手を振って家に戻った。
(変わらんな、ホンマ…)
南は少し昔の事を思い出しながら、家に帰って行った。
誰にも言うなと言われた手前、ヘタにテキトーなことを言えば無駄に鋭い岸本と土屋に何かを勘付かれるのは想像出来るため、南は黙っていることにしていた。
結局この日はダラダラと過ごしただけで、いつもより少し早めの帰宅になった。ブル大佐も心なしかつまらなそうにしていた。
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