Engraved


そのまま再び押し倒され、頭のてっぺんからつま先までキスのシャワーが降ってくる。「前の男はこんなことしてくれたか?」と聞かれる度に背筋がゾクゾクと震えた。実理が嫉妬している、そう思うと興奮してもっともっと欲しくなる。

実理の長い指が私の中に入り、壁をなぞるように動く。今まで知らなかった快感が遠くから押し寄せてくるのが分かる。


『あっ…んん……んあぁぁ』

「ココがええんか?」

『んっ…きもちぃよぉ……』

「ほなもっとしたるからな。ほれほれ…」

『んひぃぃぃ…っ…!あぁぁぁっ!』


理性のカケラも無い雌声が溢れてしまう。こんなに乱れたのは初めてだ。


「どエロい顔しとるで?そろそろコッチの方がええやろ?」


実理が手を添えたそれはさっきよりもそそり立っていた。入り口を滑るように擦り付けられると、早く欲しくて腰がヘコヘコと動いてしまう。そんな私を見て実理はニヤリと笑い、入り口を確認すると一気に奥まで突き上げた。


『あ゛ぁっ……!』

「…っ……締め過ぎやって…」

『すご……おくにきてるぅ…っ!』

「…ハァッ……俺の方が気持ちええやろ…?」

『きもちぃっ!みのりしかきもちくなぃぃ…!』


その言葉がスイッチになり、何も考えられなくなるくらい抱かれ、溺れていった。肌と肌がぶつかり、チュピチュピと弾ける水音は汗なのか愛液なのかも分からない。ただ分かったのは、世の中には私の知らないことがまだまだあるらしいということだった。そして気付けばお腹の中にたっぷりと愛が注ぎ込まれていて、そのまま二人とも眠ってしまっていた。


目が覚めると目の前には髪が汗で濡れ乱れた実理の寝顔があった。彼がこんなにも優しく激しく抱いてくれることを誰にも知られたくない。なんて言ったらどんな顔をするのだろうか。

顔にかかる髪をそっと避けた途端、大きな目が私をとらえる。


「…まだ足らんかったんか?」

『…うんって言ったらどーする?』


そう言うと、またあのニヤリとした笑顔と共に思考と記憶は停止していく。

でも問題は無い。

きっと身体が覚えているから。



Engraved:刻まれる



おわり


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