春、見つけた。

春、見つけた。(牧ver.)

今日から新一年生が部活にやってくる。その中には去年高等部をインターハイ準優勝に導いたあの牧紳一がいる。

大学から海南大に入り、バスケ部のマネージャーである私にとって、あの牧紳一がチームメイトになるのは初めての事で、周りの皆以上にそわそわしていた。


着替えを済ませ体育館に向かうと、バッシュを履いた人物がキョロキョロしているのを見つけた。もしや新入部員で、体育館が何処か分からないのかな…。鈍臭い奴…。


『もしかして、バスケ部の新入部員?』

「あ、はい。体育館の場所が分からなくなってしまって…」


振り向いたその人物は、なんとあの牧紳一だった。つい先日まで高校生だったとは思えないくらいワイルドな見た目、目の下の黒子、間違いないっ…!


『あ…あなた…高等部のキャプテンだった牧くんだよね…?』

「そうです。もしかしてマネージャーさんですか?」


牧くんは仔犬のような目で私を見つめている。その想像とは全く違うギャップに私の中のイメージ像が良い意味でガタガタと崩れ落ちていったのが分かった。


春、見つけた。


『よぉし、先輩が体育館まで連れてってあげるっ!』

「…!!ありがとうございます」


少し後ろを着いてくる牧くんを可愛いと思っているのは、まだ内緒だ。



おわり

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