春、見つけた。
春、見つけた。(沢北ver.)
四月といえど秋田はまだ少し肌寒くて、朝晩は上着が必要なくらいだ。そんな春の日だった。栄治から夏が終わったらアメリカに行くと伝えられたのは。
いつかこんな日が来るって分かっていた。覚悟もしていた。でもいざ面と向かって言われるとやっぱり胸が締め付けられてしまう。
産まれた時からずっと一緒だった栄治と離れ離れになってしまう。こうして一緒に帰るのもあと何回出来るのだろう。
そんな事を考えながら、今日も栄治の隣りを歩いて学校へと向かう。
「おい、聞いてんのかよ」
『え…ごめん。ぼーっとしてた』
「最近多くないか?」
心配そうに私の顔を覗き込む栄治はいつもと何も変わらなくて、私だけが取り残されている気がした。
ふと栄治の肩に何か白い物が舞い落ちてきた。寒いと思ったら雪が舞ってきたのかな…。
「お前、頭に何かついてるぞ」
栄治が私の頭から取ったのは、なんと桜の花びらだったのだ。そして栄治の肩に乗っていたのも、同じく桜の花びらだった。
春、見つけた。
『不思議だね。まだ桜なんて開花してないのに…』
「なんか良い事ありそうだな」
栄治の言う通り、これはきっと明るい未来を示しているに違いない。
私たちの春は、これからだから。
おわり
四月といえど秋田はまだ少し肌寒くて、朝晩は上着が必要なくらいだ。そんな春の日だった。栄治から夏が終わったらアメリカに行くと伝えられたのは。
いつかこんな日が来るって分かっていた。覚悟もしていた。でもいざ面と向かって言われるとやっぱり胸が締め付けられてしまう。
産まれた時からずっと一緒だった栄治と離れ離れになってしまう。こうして一緒に帰るのもあと何回出来るのだろう。
そんな事を考えながら、今日も栄治の隣りを歩いて学校へと向かう。
「おい、聞いてんのかよ」
『え…ごめん。ぼーっとしてた』
「最近多くないか?」
心配そうに私の顔を覗き込む栄治はいつもと何も変わらなくて、私だけが取り残されている気がした。
ふと栄治の肩に何か白い物が舞い落ちてきた。寒いと思ったら雪が舞ってきたのかな…。
「お前、頭に何かついてるぞ」
栄治が私の頭から取ったのは、なんと桜の花びらだったのだ。そして栄治の肩に乗っていたのも、同じく桜の花びらだった。
春、見つけた。
『不思議だね。まだ桜なんて開花してないのに…』
「なんか良い事ありそうだな」
栄治の言う通り、これはきっと明るい未来を示しているに違いない。
私たちの春は、これからだから。
おわり
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