春、見つけた。

春、見つけた。(三井ver.)

大学生になって二回目の春

めでたく進級した俺は二年生として講義室の椅子に座っていた。

ふと横を同じ学科の子が通った。いつもなら明るく挨拶をしてくれるのに、今日は小走りで通り過ぎてしまった。

その時は特に気に留めなかったが、その後もすれ違ったりする度に何となく避けられている気がした。

昼休みにキャンパスのベンチで友だちと話していると、またアイツがそそくさと俺たちの前を通り過ぎようとした。俺は立ち上がり、声を掛けた。


「おい、何で避けるんだよ。俺、何かしたか?」


そう言うと、慌てて振り向いた彼女の前髪が風でふわりと浮いた。そこには大きな絆創膏が貼ってあり、彼女は慌てて手で前髪をおさえていた。


「もしかして、ソレ見られたくなかったのか…?」

『…っ…み、三井くんには…見られたく無かったのっ…!』

「ハァ?何でだよ」

『…察してよ、バカ』


顔を真っ赤にしながら俯く彼女の表情に、さすがの俺も分かってしまった。



春、見つけた。


「俺がそんなんで嫌うかよ、バーカ!」

『…どっちがよ…バカ…』

「うわ、可愛くねぇー」


まあ、本当は可愛くて堪らないと思っている事はまだ言わねぇけどな。



おわり

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