春、見つけた。
春、見つけた。(南ver.)
今日は大学の入学オリエンテーションに参加するため、広い講義室にやってきた。既にたくさんの人がいて、まだ友だちがいない私は何処に座るべきかと辺りをキョロキョロと見渡す。
何とか空いている席を見つけ、座ろうとするとその椅子には鞄が置いてあった。諦めようとしたその時、手がスッと伸びてきて鞄を避けてくれた。
「すんません。もう誰も来ぉへんと思って…ここどーぞ」
『あ…すみません…』
それはスラッとしたクールな感じの男の人だった。初めて生で聞く関西弁は思ったよりも柔らかい印象で、良い人で良かったと胸を撫で下ろす。
とりあえず携帯をマナーモードにしようと取り出すと、横から「あ…」と声が漏れてきた。すぐにそっちを見ると、彼の手に持たれたスマホには私と同じケースが取り付けられていた。
それは好きなバンドのグッズで、あまりメジャーでは無いため持っている人は相当なマニアと言える。講義室の中にはこんなに人がいて、このスマホケースを持った人の隣りに座るだなんて…。
春、見つけた。
『一番好きな曲、何ですか…?』
大学生活はまだ始まったばかり。
おわり
今日は大学の入学オリエンテーションに参加するため、広い講義室にやってきた。既にたくさんの人がいて、まだ友だちがいない私は何処に座るべきかと辺りをキョロキョロと見渡す。
何とか空いている席を見つけ、座ろうとするとその椅子には鞄が置いてあった。諦めようとしたその時、手がスッと伸びてきて鞄を避けてくれた。
「すんません。もう誰も来ぉへんと思って…ここどーぞ」
『あ…すみません…』
それはスラッとしたクールな感じの男の人だった。初めて生で聞く関西弁は思ったよりも柔らかい印象で、良い人で良かったと胸を撫で下ろす。
とりあえず携帯をマナーモードにしようと取り出すと、横から「あ…」と声が漏れてきた。すぐにそっちを見ると、彼の手に持たれたスマホには私と同じケースが取り付けられていた。
それは好きなバンドのグッズで、あまりメジャーでは無いため持っている人は相当なマニアと言える。講義室の中にはこんなに人がいて、このスマホケースを持った人の隣りに座るだなんて…。
春、見つけた。
『一番好きな曲、何ですか…?』
大学生活はまだ始まったばかり。
おわり
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