南さんちの昔話
烈の家の前に着き、見上げると烈の部屋に電気は点いていない。まだ帰っていないのだろうか。こんな時間にインターホンを押す訳にもいかず、どうしたもんかとその場から動けずにいた。
すると話し声がして、向こうから若い男女がイチャコラと歩いて来るのが見えた。
「ねぇーお願い〜」
喉を鳴らすように甘えた声が静かな街に響く。私もあんな風に素直に甘えることが出来たなら、もう少し生きやすかったのかもしれない。そう思いながらぼんやりと烈の部屋を眺めていると聞き慣れた声が降ってきた。
「お前何しとんねん」
見ると、そこには烈が立っていた。というか、イチャコラしていた男の方が烈だったのだ。
ん?あれ?
夜道、しかも烈の家に向かって帰る二人…烈の隣りに立つ女の人は小柄で目がくりくりしていておっぱいがデカかった。
だぁれー?と甘い声を出す彼女はどうやら酔っ払っているらしい。
そっか。この人と会うから私とは会えなかったんだ。
そうか…レポートとかそういうのじゃ無かったんやぁ…。
私は頭の中がぐちゃぐちゃになり、思わず自転車を漕ぎ出していた。
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