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南さんちの昔話


あれは烈が大学に進学し、私が就職した年の年末のことだった。

高校卒業後も私たちはそれぞれ実家で生活していたが、その内容は全く変わっていた。学生の烈は講義やレポートに追われ、社会人の私は慣れない仕事に着いていくのがやっとだった。

私が早く帰れた日でも、烈がレポートやバイトがあれば会えないこともあった。烈には長期の夏休みや冬休みがあっても、私には数日間の連休しか無かった。それまでは学校という共通の場に行くだけでお互い会えていたのに。

そんな日々を過ごし、気付けばもう年末になっていた。そして私の会社は所謂、繁忙期というやつに突入していた。毎日家に帰るのは21時を過ぎていて、晩御飯を食べるのも面倒なくらいヘトヘトだった。

烈の声が聞きたい。

烈に触れたい。

今何してるんやろう。

レポートってどんなこと書くんやろう。きっと難しくて私には分からへんやろうな。

大学で友だちは出来たんかな。

無愛想だから最初は近寄り難いよな。

でもきっとええ男だって分かったら、華の女子大生が放っておくはずがない。

そこには、私の知らない烈の世界がある。たった一年未満の間にこんなにも全てが変わるだなんて…。あー、ダメだ。ネガティブなことばかり考えてしまう。

少しで良いから会いたいなぁ…。

そう思った私は、勢いに任せ家を飛び出した。12月の夜風が吹く中で自転車を漕ぐのは、疲れ切ったヨレヨレの身体に凄く堪えた。




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