満ちるとも、また巡る。


十五夜の日、僕は月から来た兎で、彼女はお姫様だった。

兎とお姫様は一瞬で恋に落ち、甘いひとときを過ごした。そして、次の満月の夜に迎えに来ると約束し、兎は立ち去ってしまった。

甘くて幸せなあの時間は、あまりにも現実離れしていてもしかしたら夢だったのかもしれないと今でも思う。

僕は月の兎なのに、満月のことをよく知らなかった。調べてみると、月と太陽が地球を挟んでぴったり反対側にいる時に見えるのが満月らしい。つまり、普段見えないところも全て見えているということ。なんていやらしいのだろう、なんて思ってしまった。あの夜のキスは満月に相応しかったのかもしれない。思い出すと身体が熱くなってくる。


次の満月まであと少し。


さて、どんなお迎えをしようかな。




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