夜明けまでのカウントダウン
あの木の葉、随分色が付いてきたな。
あんな所にビルなんて立ってたっけ。
ここの大学生になって三年目なのに、講義棟の屋上がこんなにも黄昏スポットだったなんて知らなかった。夕焼けが綺麗だと遠くを見ようとするのは何故なのだろう。そんな事を考えていると、あっという間に太陽が沈んで行き、薄らと暗くなってきていた。
色んな事に何だかもう疲れてしまった。講義、レポート、バイトでの人間関係…そのどれも一つも上手くいかない。あとあまり深刻ではないが、前髪を切りすぎたことも少し憂鬱だ。何もせずただこうして遠くを眺めている時だけが一番心が安らぐ気がした。これって結構重症なんじゃないかな…と他人事のように思える自分もいるから、たぶんまだ限界ではないはずだ。
太陽は完全に見えなくなり、夜が始まる。
〝楽しいことが終わってしまうのは、悲しいことや辛いことが終わるため。夜が終わり、陽が昇って朝が来るように。〟
そんな言葉が何かの本に書いていた気がする。私に朝はまた来てくれるのだろうか…。
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