夢の中でなら...


今日も変わらず私はショーウィンドウに立ち続けている。暑く晴れた日も、風の強い日も、どしゃ降りの雨の日も。

しかし何でもない秋晴れのある日、突然終わりを迎えた。

私の身体の日焼けで少し変色している所が気になるという事で、明日から新しい子がやってくることになったのだ。つまりもうここには立っていられないということ。いつかこんな日が来ることは分かっていた。でもこんなにも急にとは思っていなかった。

突如訪れた最後の夜、私はこの景色を目に焼き付けようと辺りを見渡す。寝静まったビル街は薄暗くて少し不気味だけれど、見慣れてしまえば何てことは無かった。今度は空を見上げてみよう。ビルの隙間から少しだけ見える空が好きだった。そう思いながら見上げると、一つだけ嘘みたいに煌めく星があった。まるで私を、彼との思い出に導くかのように…。

彼はいつも私に会いに来てくれた。

でも一度で良いから私が彼に会いに行ってみたい。

お星さまどうか……なんてね。

こんなマネキン人形より、どこぞの可愛らしい恋する乙女の願いの方がよっぽど叶え甲斐があるよね。欲張り過ぎちゃった。

そんなことを考えているうちに空はどんどん明るくなり、いつもと変わらない朝がやってきた。

最後の朝だ。




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