何でもない今日でさえも
NAME CHANGE
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「あれ?名前も今帰りなん?駅で会うやなんて僕たちホンマ仲良しやねぇ。ほな帰ろか。寒なってきたし、お鍋せぇへん?」
淳が現れた。こんな偶然さえも、あの日と同じだ。でも淳は彼女が目の前に立っていても全く動じず、いつも通りニコニコ微笑みながら私の手を引いて歩き出した。
「ちょ…っと待ってよ……淳…よね…?」
彼女は驚いていたが、すぐに淳の名前を呼んだ。淳は振り返りもせず、ただ黙って立ち止まっている。
「な、何で淳がその人と一緒にいるの…?」
彼女は混乱しているようだが、それは無理もない事だ。お互いの元恋人同士が今一緒にいるだなんて、誰も想像出来ないだろう。
そして少しの沈黙の後、淳はようやく彼女の方を見た。そして、ふぅ…と一息吐いて話し始めた。
「僕らが今こうして一緒におるのはホンマに偶然の事や。まぁ、ある意味感謝しとるよ?〝あのこと〟があったから、今の幸せがあんねんから」
淳はいつもの柔らかい口調で話していたが、気持ちは穏やかでないのは何となく分かった。それはそうだろう。平気で自分を裏切った人が、当たり前の顔をして目の前にいるのだから。淳が彼女とのことを乗り越えるのに、どれだけ辛かったかなんてこの人には分からないだろうな…。
淳、もうええやん。帰ろう?
そう言おうとした時だった。
「最後にこんだけ言わしてや。僕な、名前の前では自分を偽らんでええねん。だから今はホンマに幸せやねん。そんだけ。ほな行こか、名前」
淳は私の手を引き、また歩き出す。彼女はたぶん今初めて聞いたであろう真実をどう思ったのかは分からないけれど、ただポカンと立ち尽くしていた。そして、それ以上何か言ってきたり追ってきたりはしなかった。
そこから家に着くまでのほんの数分間、淳は何も言わなかった。
私も何も言えなかった。
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