Have to say ...


美容院が見えてくると少しテンションが上がる。お洒落な空間で髪を綺麗にして貰えるのだから至れり尽くせりだ。気分良く美容院のドアを開くと、居酒屋のそれとは違う「いらっしゃいませ」が聞こえてくる。

しかし、今日はそれがあまり意味を為さなかった。

なぜなら、美容院の受付にさっきの彼がいたからだ。向こうもすぐに私に気付いたようだった。


『あ…また会いましたね…ハハ…』

「ホンマですねぇ。偶然やなぁ〜」


お互いただヘラヘラするしかなく、それぞれの担当者に席に通された。それにしてもイマドキの若い男の人はこんなお洒落な美容院で髪を切るのか…。メイクするのが普通だなんて言われてるもんね…。

私の通された席から彼の様子は見えなくて、その後すぐに担当の美容師さんとどのくらいカットするか、カラーはどうするかと盛り上がり、あまり深くは考えずにいた。結局、お会計をする頃には彼はもうとっくに終わって帰っていたようだった。どんな髪型にしたのか少し気になりつつも、私は次の目的地に向かった。




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