決断の日
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私は昨日の出来事をお婆ちゃんに話した。それぞれどんな人で、これから先の事を考えると誰かと一緒に生きていくのも悪くないんじゃないかと思う、と。秘宝はキッカケに過ぎないため貰わなくても良いとは思うが、これからずっと一緒にいるならば、それは真実の愛情を持っていなければ相手に失礼だと思う、と自分が思っている事を全て打ち明けた。私が話をしている間、お婆ちゃんは終始ニコニコと微笑みながら黙って頷いていた。そして、ゆっくりとお茶を飲み、一息ついてから話を始めた。
「そうねぇ。どの方もとてもあなたを愛してるのがよく分かったわ。最初の幼馴染の方は離れて暮らしてもずっとあなたを想ってくれてたんでしょう?素敵ね」
『そうなの。それが凄く嬉しかった』
「昔から知ってるなら、安心出来るものね」
『そうなんだよね。それはかなり大きいかな』
深津くんと小さい頃に遊んだ思い出が甦る。あんなに小さかったのに、今じゃすっかり素敵なお兄さんだもんなぁ…。
「二人目のお客さんの方は、あなたに恋心を抱いてお店に通ってたのよね?三人の中じゃ一番情熱的かもしれないわね」
『うん。私、全然気が付かなくて…。でも何ていうか凄い健気に思えちゃって…』
「分かるわ。母性をくすぐられちゃうのね」
『そう!そんな感じ!』
三井さんが初めてお店に来た日、心配そうに膝を触っていたのをよく覚えている。少しでも不安を無くしてあげなきゃ…と明るく話しかけたんだっけ。
「三人目の取引先の方は、あなたが一人で頑張ってるのをよく見てるのね。さり気ない優しさや気付きって、なかなか誰にでもあるものじゃないのよ」
『いつも何かと心配してくれてたんだよね。南さんが来ると凄く安心してた気がする』
「このお店を続けるなら、彼が一番理解してくれるかもしれないわね」
『そうだよね』
南さんは口数は少ないけれど、沈黙が気まずいとかそんな風に思った事はない。いつも心配してくれてたんだなぁと思うと、嬉しくなってしまう。
「話を聞く限り、誰を選んでも大丈夫そうね。心配することないわ」
『…ありがとう、お婆ちゃん』
「あとは、あなたが決めるだけよ。自分の人生なんだから、自分で選択していかなきゃね。どんな結果になっても、私はあなたの味方よ」
お婆ちゃんに相談して本当に良かった。何だかいつもよりお茶もお菓子も美味しい気がする。
人間が魔物に勝てた理由は、こういう底知れぬパワーがあるからなのかもしれない。
よし、決めた。
明日、あの人の所にお返事をしに行こう。
魔物がいなくなったこの平和な世界を、私は生きていく。
窓から見えた空は、青く澄んでいてとても綺麗だった。
続く