決断の日
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あの日は結局三人の言い合いが続き、収集がつかなくなった所に電話が鳴り、何となくおさまっていったというグダグダな展開だった。とりあえず一旦帰って貰い、どうするかゆっくり考える事にした。
小さい頃からずっと一緒で、気を使わずに自然にいられる深津くん。
不器用で言葉使いはちょっと乱暴だけど、何となく放っておけないような、私を慕ってくれる三井さん。
クールで愛想は無いけれど、一人でいる私をいつも気にかけてくれる優しい南さん。
ああでもない、こうでもないと考え続け、ただ時間だけが過ぎて行った。そして結局答えなんて出なくて、ただクッションを抱えてゴロゴロするばかりだった。
カランカラン♪
お店のドアが開く音がした。今日は客足が少ないから、店に立っていなかったのだ。私は慌てて店の方に向かう。
『いらっしゃいま…あ!お婆ちゃん!』
店に来たのは予約のお婆ちゃんだった。本当は今日が予約の日で、私が昨日だと勘違いしていたのだ。
『暑かったでしょう?お茶淹れるから座ってね』
椅子に座るように促すと、お婆ちゃんはジッと私の顔を見た。そしてにっこり笑いながら座り、お菓子を出しながらこう言った。
「ふふっ…なぁんか悩みでもあるの?」
『へっ?!な、何で分かるの?!』
「歳を取るとね、何となく分かっちゃうのよぉ。良いわね、若いって。さぁさぁ、このお菓子でも食べて少しリラックスしてね」
お婆ちゃんって凄い…!私は祖父母も両親も早くに亡くしてしまったから、こんな風に話を聞いて貰うなんてほとんどした事が無かった。何だか急に人恋しくなってきて、胸がギュッと締め付けられるようだった。
『お婆ちゃん、相談があるんだけど…。今日のお薬代要らないから聞いてくれる…?』
そう言うと、お婆ちゃんは優しく微笑みながら私の手をそっと握った。
「そんな事しなくても、いつでも何でも聞くわよぉ。こんなお婆ちゃんで良ければ甘えたって良いんだからね?さぁ、話してみて?」
お婆ちゃんの優しい言葉が私の心にゆっくりと染み込んでくる。何だかずっと閉じこもっていた何かが解放されていく感じがした。
『あのね、実は…』
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