歩き出した日(三井 ver.)
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お婆ちゃんと話した日の夜、私は三井さんが初めてお店に来た日の事を改めて思い返してみた。
「お願いします」と愛想が無いのか不機嫌なのかよく分からない表情で病院からの処方箋を差し出される。内容は骨を丈夫に保つサプリメント的な物と、頓服の痛み止めだった。どこか骨に異常があって、経過観察中という所だろうか。
初めてのお客さんだし、身体に合わないお薬があるかを確認しなければ。そう思い、三井さんの近くまで行くと、膝に優しく手を当て不安そうに見ていた。
『痛みますか…?』
思わずそう声を掛けてしまった。すると三井さんは一瞬戸惑っていたようだが、いきなりニッと歯を見せて笑った。
「いや、大丈夫です。なんか、すみません…」
この時の笑顔が忘れられない。ときめいたというより、大事にしたいと思った。初対面なのに。三井さんには何か不思議な力でもあるのだろうか。
それから、定期的にお店に来ては世間話をするようになり、気付けば〝名前〟と呼ばれるまでの仲になった。
昨日は急な事で驚いたけれど、三井さんが私を必要としてくれている事が素直に嬉しかった。あの時の真剣な顔が目に焼き付いている。
明日は三井さんに会いに行こう。
私も三井さんの側にいたいって、ちゃんと言うんだ。
いつものベッドが凄くふかふかと柔らかく感じた。三井さんみたい、なんて考えてしまい、勝手に照れてしまったのは絶対内緒だ。
結局、お決まりかのように眠れるはずが無くて、カーテンを少し開けて夜が更け行くのを静かに見守った。
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