18:大スベリ
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会場の外に出ると、少し秋を感じるような澄んだ空になっていた。
せっかく神戸まで来たことだし、美味しいパン屋さんにでも寄って行こうと駅に向かおうとした時、声をかけられた。
「あれ?南さんの…」
振り返ると、そこにいたのはテルオくんだった。
「応援来てはったんですね!俺も観に来てたんです」
『そうなんや。おるって全然気付かんかった。勝って良かったなぁ』
笑いかけると、テルオくんは誰がどこから見てもデレデレした顔をしている。すると、遠くの方からまた声がした。
「あーーーー!!テルオ!!」
そう叫びながら、男の人がこちらに向かって走ってきた。
「彦一!お前も来とったんか」
どうやらテルオくんの知り合いのようだ。
「テ、テルオ…こちらのべっぴんさんは?ま、まさか、お前の…?」
「アホ!失礼なこと言うな!この人はなぁ、うちの南さんの嫁さんやぞ!」
その人は一瞬にして凍りついたように動きを止め、口を大きく開けたまま立ち尽くした。そして、さっきよりも大きな声でこう言った。
「えぇーーーー!アンビリーバブルや!!さすが大阪の得点王!この歳でもう結婚してはるなんて!!要チェックやで!これは!!」
私は初めて見るタイプの人に、ただ呆気に取られるだけだった。
「おい、彦一!うるせーぞ!」
向こうから、赤い髪の毛の人がズンズンと近付いてきた。Tシャツには〝KANAGAWA〟の文字が書いてある。
「あ、桜木さん。コイツ、大阪の同級生なんですわ。豊玉高校でバスケしてて」
「豊玉…?カリメロの所か」
すると、何だ何だと次々に神奈川チームの人たちも集まってきた。私はあまりにインパクトの強いその赤い髪をじーっと見てしまった。彼は視線に気付いたようで、目が合ってしまう。
「ぬ?(ぽわ〜ん♡)…おい、このキレイな方は誰だ?」
「それが聞いてホンマに驚きですわ!南さんの奥さんなんやそうです!」
この発言に赤い髪の人を含め、神奈川チームの他の人たちもさっきのように一瞬にして凍りつく。
「「「な、なにぃーーー?!」」」
ザワザワと驚きの声が飛び交う中、どうしたら良いか分からず戸惑っていると、背後から聞き覚えのある声がした。
「えー、二人もう籍入れてたん?知らんかった〜」
土屋さんがニコニコしながらノってきた。絶対面白がっている…。そして、満を持して南くんがやってきた。
「土屋、何してんねん」
そこにいた全員の視線が、南くんに一気に降りかかった。
「あーーー!カリメロ!てめぇ!いつの間にこんなキレイな奥さんが…!」
赤い髪の人を見て一瞬驚いた南くんは「はぁ?」と指さされた方を見て、私がいるとようやく気付いたようだ。私は堪らず、南くんの方に駆け寄った。
「…あんまし状況が把握できてへんねんけど」
『うーん…何て説明したらええか……しゃーない。私が終わらすわ』
南くんと小声で会話し、私は神奈川チームの方を向いて全力の愛妻スマイル(仮)をしながら、こう言った。
『はじめまして。南の妻です。いつもお世話になっております』
ぺこりと頭を下げた。
さぁ、来い!総員ツッコミ!
しーん……
…あれ?スベった?
顔を上げると、神奈川チームの人は照れくさそうにこちらを見ている。後から来た岸本くんは、吹き出すのを堪えてプルプルしている。土屋さんは、ニコニコと見ているだけだ。
この妙な空気を断ち切ったのは、南くんだった。
「…まぁそういうこっちゃ。せやから、そないやらしい目でジロジロ見んといてや」
南くんは私の肩に大阪チームのジャージをふわりとかけた。カーッと顔が赤くなるのが分かった。
「ほな、行こか。神奈川チームには負けへんて、牧に伝えてや」
土屋さんは赤い髪の人に向かって言い、歩き出した。
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せっかく神戸まで来たことだし、美味しいパン屋さんにでも寄って行こうと駅に向かおうとした時、声をかけられた。
「あれ?南さんの…」
振り返ると、そこにいたのはテルオくんだった。
「応援来てはったんですね!俺も観に来てたんです」
『そうなんや。おるって全然気付かんかった。勝って良かったなぁ』
笑いかけると、テルオくんは誰がどこから見てもデレデレした顔をしている。すると、遠くの方からまた声がした。
「あーーーー!!テルオ!!」
そう叫びながら、男の人がこちらに向かって走ってきた。
「彦一!お前も来とったんか」
どうやらテルオくんの知り合いのようだ。
「テ、テルオ…こちらのべっぴんさんは?ま、まさか、お前の…?」
「アホ!失礼なこと言うな!この人はなぁ、うちの南さんの嫁さんやぞ!」
その人は一瞬にして凍りついたように動きを止め、口を大きく開けたまま立ち尽くした。そして、さっきよりも大きな声でこう言った。
「えぇーーーー!アンビリーバブルや!!さすが大阪の得点王!この歳でもう結婚してはるなんて!!要チェックやで!これは!!」
私は初めて見るタイプの人に、ただ呆気に取られるだけだった。
「おい、彦一!うるせーぞ!」
向こうから、赤い髪の毛の人がズンズンと近付いてきた。Tシャツには〝KANAGAWA〟の文字が書いてある。
「あ、桜木さん。コイツ、大阪の同級生なんですわ。豊玉高校でバスケしてて」
「豊玉…?カリメロの所か」
すると、何だ何だと次々に神奈川チームの人たちも集まってきた。私はあまりにインパクトの強いその赤い髪をじーっと見てしまった。彼は視線に気付いたようで、目が合ってしまう。
「ぬ?(ぽわ〜ん♡)…おい、このキレイな方は誰だ?」
「それが聞いてホンマに驚きですわ!南さんの奥さんなんやそうです!」
この発言に赤い髪の人を含め、神奈川チームの他の人たちもさっきのように一瞬にして凍りつく。
「「「な、なにぃーーー?!」」」
ザワザワと驚きの声が飛び交う中、どうしたら良いか分からず戸惑っていると、背後から聞き覚えのある声がした。
「えー、二人もう籍入れてたん?知らんかった〜」
土屋さんがニコニコしながらノってきた。絶対面白がっている…。そして、満を持して南くんがやってきた。
「土屋、何してんねん」
そこにいた全員の視線が、南くんに一気に降りかかった。
「あーーー!カリメロ!てめぇ!いつの間にこんなキレイな奥さんが…!」
赤い髪の人を見て一瞬驚いた南くんは「はぁ?」と指さされた方を見て、私がいるとようやく気付いたようだ。私は堪らず、南くんの方に駆け寄った。
「…あんまし状況が把握できてへんねんけど」
『うーん…何て説明したらええか……しゃーない。私が終わらすわ』
南くんと小声で会話し、私は神奈川チームの方を向いて全力の愛妻スマイル(仮)をしながら、こう言った。
『はじめまして。南の妻です。いつもお世話になっております』
ぺこりと頭を下げた。
さぁ、来い!総員ツッコミ!
しーん……
…あれ?スベった?
顔を上げると、神奈川チームの人は照れくさそうにこちらを見ている。後から来た岸本くんは、吹き出すのを堪えてプルプルしている。土屋さんは、ニコニコと見ているだけだ。
この妙な空気を断ち切ったのは、南くんだった。
「…まぁそういうこっちゃ。せやから、そないやらしい目でジロジロ見んといてや」
南くんは私の肩に大阪チームのジャージをふわりとかけた。カーッと顔が赤くなるのが分かった。
「ほな、行こか。神奈川チームには負けへんて、牧に伝えてや」
土屋さんは赤い髪の人に向かって言い、歩き出した。
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