15:正直、忘れてた
NAME CHANGE
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「名前!」
遠くの方から、誰かに名前を呼ばれた。見ると、走ってきたのか息を切らせた花子が泣きながらやって来た。
「無事やねんな?何もされてないやんな?」
必死に何度も聞いた。心配そうに見ていた岸本くんも、スッと私の前にしゃがみ込んだ。
「番長、一体何があったん?」
岸本くんに聞かれ、私はゆっくりと経緯を話した。
「ほな、その普通科の女が仕組んだっちゅー訳やな。何て奴や?」
『名前はちゃんと分からんねん。顔なら分かるけど…』
「でもその内、南くんに告白しに来るんちゃうの?」
「チッ……クソが」
皆は少し混乱しているようだった。私は話したことで、少し冷静になれた気がする。
『ところで皆、どうしてここが分かったん?』
そう聞くと、花子が説明をしてくれた。
私がお人形ちゃんに呼ばれて少しすると、ある人物が花子の元に来て、私が倉庫に連れ込まれたと言った。自分は先生に伝えるから、花子は南くんに伝えてくれ、とまた走り去ったそうだ。
「その〝ある人物〟っちゅーのが…井矢見やねん」
『えっ…』
あの井矢見が?
あれ以来一言も話していなかったのに。
何で…?
『井矢見、まだおるかな…』
思わず駆け出そうとすると、南くんに腕を引かれた。
「着替えんと」
『あ…そっか…』
すぐに南くんが着替え用のTシャツを持ってきてくれた。スカートが見えないくらい、長くてブカブカだった。このTシャツが、たくさんの物を背負い込んでいたあの背中を包んでいたと思うと、辛い思いを少しでも分け合うことができた気がして、少し嬉しかった。
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