11:任務完了
NAME CHANGE
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呆然と立ち尽くしていると、ガラリと音を立ててドアが開く。そこには南くんが立っていた。恐らく、全部聞いていたのだろう。
ポケットに手を入れたまま、南くんは井矢見の方を見た。
「お前、掲示板の前でイキってた奴やろ。からかうにしては、度が過ぎるとるんちゃう?」
井矢見は動揺したのか、黙って俯いた。
「それに、名字さんはアカンわ。もうオレのモンやねん」
井矢見と一瞬、目が合った。そして赤い顔をした私を見て、チッと舌打ちをして教室を出て行った。
「名字さん」
さっきとは全く違う、優しい口調で南くんは私の名前を呼ぶ。
「オレな、広島で北野さんに会うたわ。勝つことにこだわり過ぎとった。もっと大前提があるって気付かせてくれた。でも遅かってん…やから、負けてしもた」
南くんは鎧を解くことができたんだ。私が言おうとしていた言葉なんて必要無かった。
「負けたんは悔しいけど、あのまま勝っても北野さんはここには戻って来んかったと思う。最後の最後に、北野さんに気付かせて貰えて良かった。せやから…」
次の言葉を待っていられず、私は南くんの胸に飛び込み、背中に腕を回す。
私の腕じゃ回りきらないくらいこの広い背中で、色んな物を背負い込んできたんだ…。
『南くん、ホンマにお疲れ様。南くんが納得できたんやったら、それでええと思う』
見上げると、南くんと目が合う。
「あの夜の続きやけど…」
今度は南くんの腕が私の背中に回る。
「名字さんがしっかりせなって思い込んでるのを見て、自分と同じやと思った。だからあの夜、オレしか名字さんを守れんってホンマに思った」
私より前から、南くんは気付いていたんだ。
「オレは人前でベタベタすんの嫌いやし、無愛想やし、気のきいた甘い言葉も言われへん。…でも名字さんを泣かせへんて約束する。もうあんな顔させへん」
抱きしめる腕が離れた。
南くんの目には私だけが映っている。
「ずっとオレの側で笑っとって欲しい」
『…うん』
そう言うと、私はまた南くんの腕の中に引き寄せられた。
泣きそうになったけど、南くんから貰った言葉がふわふわどこかに行ってしまいそうだから、グッと堪えた。
『私も同じ気持ち。南くんの全部を受け止めるよ。周りが拒絶しても、私はずっと側におるから』
私たちは鎧が解けて無防備な心を包み合うように、しばらく抱き合っていた。
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ポケットに手を入れたまま、南くんは井矢見の方を見た。
「お前、掲示板の前でイキってた奴やろ。からかうにしては、度が過ぎるとるんちゃう?」
井矢見は動揺したのか、黙って俯いた。
「それに、名字さんはアカンわ。もうオレのモンやねん」
井矢見と一瞬、目が合った。そして赤い顔をした私を見て、チッと舌打ちをして教室を出て行った。
「名字さん」
さっきとは全く違う、優しい口調で南くんは私の名前を呼ぶ。
「オレな、広島で北野さんに会うたわ。勝つことにこだわり過ぎとった。もっと大前提があるって気付かせてくれた。でも遅かってん…やから、負けてしもた」
南くんは鎧を解くことができたんだ。私が言おうとしていた言葉なんて必要無かった。
「負けたんは悔しいけど、あのまま勝っても北野さんはここには戻って来んかったと思う。最後の最後に、北野さんに気付かせて貰えて良かった。せやから…」
次の言葉を待っていられず、私は南くんの胸に飛び込み、背中に腕を回す。
私の腕じゃ回りきらないくらいこの広い背中で、色んな物を背負い込んできたんだ…。
『南くん、ホンマにお疲れ様。南くんが納得できたんやったら、それでええと思う』
見上げると、南くんと目が合う。
「あの夜の続きやけど…」
今度は南くんの腕が私の背中に回る。
「名字さんがしっかりせなって思い込んでるのを見て、自分と同じやと思った。だからあの夜、オレしか名字さんを守れんってホンマに思った」
私より前から、南くんは気付いていたんだ。
「オレは人前でベタベタすんの嫌いやし、無愛想やし、気のきいた甘い言葉も言われへん。…でも名字さんを泣かせへんて約束する。もうあんな顔させへん」
抱きしめる腕が離れた。
南くんの目には私だけが映っている。
「ずっとオレの側で笑っとって欲しい」
『…うん』
そう言うと、私はまた南くんの腕の中に引き寄せられた。
泣きそうになったけど、南くんから貰った言葉がふわふわどこかに行ってしまいそうだから、グッと堪えた。
『私も同じ気持ち。南くんの全部を受け止めるよ。周りが拒絶しても、私はずっと側におるから』
私たちは鎧が解けて無防備な心を包み合うように、しばらく抱き合っていた。
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