10:勝手に
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私たちは駅前のファミレスに入った。
「烈が小さい頃は、よう家族で来たなぁ」
南くんのお母さんは、店内をキョロキョロと見渡す。
『南くんて、小さい時はどんな子だったんですか?』
「小さい頃は甘えん坊で、私にベッタリやったね。でも小学校に入ったら、実理くんとバスケばっかりしとったわ」
『へぇ〜。甘えん坊だったんですね。想像できない…』
「昔は甘えててんけどなぁ…」
南くんのお母さんは、少し俯きながら話を続けた。
「…烈な、明日帰って来んねんて」
『え?』
「1回戦で、アカンかったらしいわ」
ウソ…あんなに頑張ってたのに…
私は何も言えず、暫く沈黙が続いた。見兼ねた南くんのお母さんが話を始めた。
「あの子、人に甘えたり、素直に自分の気持ちを話したりせえへんやろ。一人で背追い込んで、自分に呪いをかけとる」
一口コーヒーを飲み、南くんのお母さんは続けて話した。
「だから名前ちゃんなら、烈に何て言ってやればええのか分かるんちゃうかなと思って」
『え?私ですか?』
「…名前ちゃんも、烈と同じやろ」
この言葉に、私はハッとした。
そうか。南くんも〝勝たなければならない〟という鎧を纏っていたんだ。
『前に南くんに、もっと人を頼れって言われたことがあるんです。その時、初めて自分が勝手に鎧を纏っていたんだなって気付いたんです』
勝手に…
そうか。私は自分さえ我慢すれば、と〝勝手に〟被害者ぶっていただけなんだ…。それは誤解だ、と相手に自分の気持ちを理解して貰おうとしていなかった。
この時私は、次に自分が何をすべきなのか分かった。
そして、南くんにどんな言葉をかけるべきなのかも。
「…名前ちゃん、烈のこと頼むな」
そう微笑んだ南くんのお母さんは、全てを見透かしているような気がした。
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「烈が小さい頃は、よう家族で来たなぁ」
南くんのお母さんは、店内をキョロキョロと見渡す。
『南くんて、小さい時はどんな子だったんですか?』
「小さい頃は甘えん坊で、私にベッタリやったね。でも小学校に入ったら、実理くんとバスケばっかりしとったわ」
『へぇ〜。甘えん坊だったんですね。想像できない…』
「昔は甘えててんけどなぁ…」
南くんのお母さんは、少し俯きながら話を続けた。
「…烈な、明日帰って来んねんて」
『え?』
「1回戦で、アカンかったらしいわ」
ウソ…あんなに頑張ってたのに…
私は何も言えず、暫く沈黙が続いた。見兼ねた南くんのお母さんが話を始めた。
「あの子、人に甘えたり、素直に自分の気持ちを話したりせえへんやろ。一人で背追い込んで、自分に呪いをかけとる」
一口コーヒーを飲み、南くんのお母さんは続けて話した。
「だから名前ちゃんなら、烈に何て言ってやればええのか分かるんちゃうかなと思って」
『え?私ですか?』
「…名前ちゃんも、烈と同じやろ」
この言葉に、私はハッとした。
そうか。南くんも〝勝たなければならない〟という鎧を纏っていたんだ。
『前に南くんに、もっと人を頼れって言われたことがあるんです。その時、初めて自分が勝手に鎧を纏っていたんだなって気付いたんです』
勝手に…
そうか。私は自分さえ我慢すれば、と〝勝手に〟被害者ぶっていただけなんだ…。それは誤解だ、と相手に自分の気持ちを理解して貰おうとしていなかった。
この時私は、次に自分が何をすべきなのか分かった。
そして、南くんにどんな言葉をかけるべきなのかも。
「…名前ちゃん、烈のこと頼むな」
そう微笑んだ南くんのお母さんは、全てを見透かしているような気がした。
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