Another Story:春に追い付く
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合格発表の日
南は休みを取って名前と一緒に結果を見に来ている。
『アカン…試験の日より緊張する……』
「手答えあったんやろ?大丈夫やって。高校生の時なんてテストの結果貼り出されてもぼんやり見とったやんけ」
『それとは全然ちゃうやん〜』
南が緊張を解そうとしてくれている事が嬉しくて、思わず腕にしがみ付く。普段人前でそういう事をしない為、南は少し驚いた。
「緊張しとったんちゃうんか」
『しとるよ。だからくっついてもええやろ?』
甘えるように見上げる名前が可愛くて、南は照れてしまう。受験が終わるまでと我慢していた欲がムラムラと湧き上がってくる。
「家帰ったら、覚悟しときや」
少し屈み、耳元で言うと名前の顔がボッと赤くなる。
『もう…まだ結果見てへんのに……』
頭上にぽわぽわと花を飛ばしながら歩いていると、とうとう大学に着いてしまった。二人は掲示板の手前で立ち止まる。
「俺はここで待っとるから」
『…うん。行ってくるね』
名前は躊躇う事なく歩き出した。人を掻き分け、掲示板をジッと見る。自分の番号を指で追いながら探す。
(あった…!!)
ジーンと感動が込み上げてきて、さっきとは違う花がぽわぽわと舞っていく。余韻に浸りながらも南の所に戻ろうとすると、誰かに肩を叩かれた。
「番号、ありますね!」
ニッコリ微笑むその人物は、試験で隣りに座っていた高校生の男の子だった。おそらく番号が連続のため、名前の番号も把握しているのだろう。
『あ…!そっちもあったみたいですね。春から同級生やねぇ』
夢に見た大学生活が始まろうとしている。早速知り合いも出来て、幸先が良い。
「あの…もし良かったらこの後少し話さへん…?」
モジモジと恥ずかしそうにする相手を見て名前はピンと気が付いた。自分に好意を持っていると。
そもそも自分を高校生だと思っているようだし、本当の年齢を言えば引き下がるかもしれない。
伝えようとしたその時だった。
「名前、帰んで」
背後から南の声がした。しかも呼ばれたのは下の名前だった。普段は〝名字さん〟と呼ぶのに…。胸をドキドキさせながら振り返ると、「ん」と手を差し出していた。
『あ……ゴメンなさい。もう帰らな。また春からよろしくね!』
高校生の男の子にそう伝え、名前は南の手を取った。男の子はポカンと口を開いたまま、呆然と立ち尽くしていた。
「彼氏、めっちゃ大人やん……」
彼のか細い声が、桜吹雪のように空に吸い込まれていった。
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南は休みを取って名前と一緒に結果を見に来ている。
『アカン…試験の日より緊張する……』
「手答えあったんやろ?大丈夫やって。高校生の時なんてテストの結果貼り出されてもぼんやり見とったやんけ」
『それとは全然ちゃうやん〜』
南が緊張を解そうとしてくれている事が嬉しくて、思わず腕にしがみ付く。普段人前でそういう事をしない為、南は少し驚いた。
「緊張しとったんちゃうんか」
『しとるよ。だからくっついてもええやろ?』
甘えるように見上げる名前が可愛くて、南は照れてしまう。受験が終わるまでと我慢していた欲がムラムラと湧き上がってくる。
「家帰ったら、覚悟しときや」
少し屈み、耳元で言うと名前の顔がボッと赤くなる。
『もう…まだ結果見てへんのに……』
頭上にぽわぽわと花を飛ばしながら歩いていると、とうとう大学に着いてしまった。二人は掲示板の手前で立ち止まる。
「俺はここで待っとるから」
『…うん。行ってくるね』
名前は躊躇う事なく歩き出した。人を掻き分け、掲示板をジッと見る。自分の番号を指で追いながら探す。
(あった…!!)
ジーンと感動が込み上げてきて、さっきとは違う花がぽわぽわと舞っていく。余韻に浸りながらも南の所に戻ろうとすると、誰かに肩を叩かれた。
「番号、ありますね!」
ニッコリ微笑むその人物は、試験で隣りに座っていた高校生の男の子だった。おそらく番号が連続のため、名前の番号も把握しているのだろう。
『あ…!そっちもあったみたいですね。春から同級生やねぇ』
夢に見た大学生活が始まろうとしている。早速知り合いも出来て、幸先が良い。
「あの…もし良かったらこの後少し話さへん…?」
モジモジと恥ずかしそうにする相手を見て名前はピンと気が付いた。自分に好意を持っていると。
そもそも自分を高校生だと思っているようだし、本当の年齢を言えば引き下がるかもしれない。
伝えようとしたその時だった。
「名前、帰んで」
背後から南の声がした。しかも呼ばれたのは下の名前だった。普段は〝名字さん〟と呼ぶのに…。胸をドキドキさせながら振り返ると、「ん」と手を差し出していた。
『あ……ゴメンなさい。もう帰らな。また春からよろしくね!』
高校生の男の子にそう伝え、名前は南の手を取った。男の子はポカンと口を開いたまま、呆然と立ち尽くしていた。
「彼氏、めっちゃ大人やん……」
彼のか細い声が、桜吹雪のように空に吸い込まれていった。
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