Another Story:春に追い付く
NAME CHANGE
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「はい、そこまで。ペンを置いて下さい。解答用紙を回収しますので、裏返しにして右の人に渡して下さい」
ついに試験が終わった。それなりに解く事ができ、名前はホッと胸を撫で下ろす。隣りから解答用紙が流れてきて、名前も隣りに渡していく。その時初めて制服を着た高校生の男の子が座っている事に気が付いた。サラサラの髪と大きな瞳が印象的だった。
退室の許可が出て、名前は帰り支度を始める。鞄に荷物を入れているとペンケースを床に落としてしまった。拾おうと手を伸ばすとさっきの男の子が先に拾い、名前に差し出した。
『あ…ありがとうございます。すみません』
「いえ。あの…数学の問4って答え何になりました?」
『問4は…18ですね』
「あ、ですよね?!良かったー!」
『引っ掛けでしたよね、あれ』
「やっぱそうですよね?よっしゃ、イケそうや!」
男の子は嬉しそうにガッツポーズを取っていた。24歳の名前には子どもみたいで可愛いなぁなんて思う余裕すらある。
「あの、学校私服なんですか?ええなぁ。早よ大学生になって俺も私服登校したいなぁ。お互い受かってるとええですね」
その言葉から、どうやら相手は名前を高校生だと思っているらしい。どちらかと言えば今まで年齢より少し上に見られがちだったため素直に嬉しく、またそれと同時にその感覚が何だかおばちゃんっぽい気もしたのだった。
『そうですねぇ』
名前は敢えて肯定も否定もせず、にっこりと微笑みながら会釈して退室した。
試験も上手くいき、おまけに10代に間違えられ、その日は帰ってからも終始機嫌が良かった。そんな名前を見て、南と南の両親も嬉しそうにしていた。
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