22:ラブレター
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合宿から帰ると、玄関にオカンが走ってきた。明らかに様子がおかしい。
「何や、どうしたん?」
「今朝、ポストにこれが入っててん…」
そう言って、手紙を差し出した。
宛名には住所は書かれておらず〝南烈 様〟とだけ書かれていたが、裏側の差出人名を見て俺は急いで封を切った。
『南くんへ
本当は会って話したかったけれど、誰がどこで見ているか分からないので手紙で伝えます。
恐らくこの手紙を読む頃には、父さんの名前がニュースに出ていると思います。
まず、父さんは冤罪です。そんなことをする人ではありません。私が一番分かっています。
そして父さんもまた私と同じように、自分が作り上げた鎧に縛れていたことに気付きました。解いてあげることができなかったことが悔しいです。
週刊誌の記者が家の周りで聞き込みをしています。また、マスコミが家に来るのも時間の問題だと思います。
私は学校に呼ばれ、父さんのことで大学から合格を取り消す連絡があったと言われました。理事長は、学校の名前に泥を塗ったと激怒しています。特待生も取り消しだそうです。
南くんはきっと、私を助けようとしてくれますよね。でもそうすることで、南くんが頑張って勝ち取った物が全て無くなってしまいます。あの理事長ならやり兼ねません。それに、南くんのご両親にも迷惑がかかってしまいます。
だから、私はここから姿を消そうと思います…
と言っても死んだりはしません。南くんは私に、自分の気持ちを相手に伝えることの大切さを教えてくれましたね。だから、正直に自分の気持ちを書きます。
私は南くんが好きで好きでたまりません。
クールなところ、時々見せる可愛いところ、2人きりの時は甘えてくるところ、スケベなところ、強くて繊細な芯を持っているところ…
こんな便箋に書き切れない程、好きで溢れています。
好きだからこそ、私のせいで南くんが頑張って得た物が無くなってしまうのは嫌なのです。これから先、南くんの指や唇が他の誰かに触れるなんて考えたくもないけれど、私はずっと、南くんの温もりを忘れません。
先日、私は南くんのためなら何でもできると言いました。南くんは私のして欲しいことは何でもすると言ってくれました。
この言葉のやりとりが、今、手紙を書いている私の背中を押してくれました。
勝手なことをして、ごめんなさい。どうか分かって欲しいです。
最後に…
こんな展開になってでも、もしまためぐり逢うことができたなら、これはいつかのドラマチックの神様が仕向けたことなんだと受け入れようと思います。
だから南くんは大学に行って下さい。
バスケをしている姿、もっと見たかったです。
さようなら。
ありがとう。
大好きやで、南くん。
名字 名前 』
俺は膝から崩れ落ちた。
オカンが何か言っているが、全く聞こえない。
遠くから、オトンの叫び声がかすかに聞こえる。名字さんのお父さんの名前がニュースに出ていたからだ。
病院の金を横領し、今朝、遺体で見つかった、と。
それから病院側があれは濡れ衣だったと認め、謝罪したのは数ヶ月後のことだった。
続く
「何や、どうしたん?」
「今朝、ポストにこれが入っててん…」
そう言って、手紙を差し出した。
宛名には住所は書かれておらず〝南烈 様〟とだけ書かれていたが、裏側の差出人名を見て俺は急いで封を切った。
『南くんへ
本当は会って話したかったけれど、誰がどこで見ているか分からないので手紙で伝えます。
恐らくこの手紙を読む頃には、父さんの名前がニュースに出ていると思います。
まず、父さんは冤罪です。そんなことをする人ではありません。私が一番分かっています。
そして父さんもまた私と同じように、自分が作り上げた鎧に縛れていたことに気付きました。解いてあげることができなかったことが悔しいです。
週刊誌の記者が家の周りで聞き込みをしています。また、マスコミが家に来るのも時間の問題だと思います。
私は学校に呼ばれ、父さんのことで大学から合格を取り消す連絡があったと言われました。理事長は、学校の名前に泥を塗ったと激怒しています。特待生も取り消しだそうです。
南くんはきっと、私を助けようとしてくれますよね。でもそうすることで、南くんが頑張って勝ち取った物が全て無くなってしまいます。あの理事長ならやり兼ねません。それに、南くんのご両親にも迷惑がかかってしまいます。
だから、私はここから姿を消そうと思います…
と言っても死んだりはしません。南くんは私に、自分の気持ちを相手に伝えることの大切さを教えてくれましたね。だから、正直に自分の気持ちを書きます。
私は南くんが好きで好きでたまりません。
クールなところ、時々見せる可愛いところ、2人きりの時は甘えてくるところ、スケベなところ、強くて繊細な芯を持っているところ…
こんな便箋に書き切れない程、好きで溢れています。
好きだからこそ、私のせいで南くんが頑張って得た物が無くなってしまうのは嫌なのです。これから先、南くんの指や唇が他の誰かに触れるなんて考えたくもないけれど、私はずっと、南くんの温もりを忘れません。
先日、私は南くんのためなら何でもできると言いました。南くんは私のして欲しいことは何でもすると言ってくれました。
この言葉のやりとりが、今、手紙を書いている私の背中を押してくれました。
勝手なことをして、ごめんなさい。どうか分かって欲しいです。
最後に…
こんな展開になってでも、もしまためぐり逢うことができたなら、これはいつかのドラマチックの神様が仕向けたことなんだと受け入れようと思います。
だから南くんは大学に行って下さい。
バスケをしている姿、もっと見たかったです。
さようなら。
ありがとう。
大好きやで、南くん。
名字 名前 』
俺は膝から崩れ落ちた。
オカンが何か言っているが、全く聞こえない。
遠くから、オトンの叫び声がかすかに聞こえる。名字さんのお父さんの名前がニュースに出ていたからだ。
病院の金を横領し、今朝、遺体で見つかった、と。
それから病院側があれは濡れ衣だったと認め、謝罪したのは数ヶ月後のことだった。
続く