21:月下の決意
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この後、どうやって帰ったのか全く記憶が無いが、私は家の近所を歩いていた。
ふと、視線を感じた。
近所の人たちが私を見てヒソヒソと何かを話している。もしかしたら、もうニュースになっているのかもしれない…。逃げるように走って行くと、家の前にスーツを着た男の人が立っていた。
「あ、すみません。近所の方ですか?私、週刊○○の記者なんですが、こちらのお家の方のことを聞いて回っておりまして。何でも良いので知りませんか?こちらの家族の交友関係とか」
この人が近所の人にも色々聞いたんだなと、気付いた。
『私、友人の家に遊びに来ただけなので、この辺のこと知りません』
私は家を通り越して走った。
暫くして記者の人がいなくなったのを確認し、私は滑り込むように家に入った。電気を点ければ、家にいることがバレてしまう。私は暗い部屋で、ジッとソファーに座っていた。
さっき記者の人が言っていた、交友関係…。
南くんは度々家に来ていたし、近所の人に見られている可能性も高い。それに南くんのお父さんと父さんは、昔からの知り合いだ…。
グルグルと考えていると、メールの着信音が鳴った。画面には〝父さん〟の文字が表示されている。急いで開いてみると、そこにはこう書かれていた。
もう母さんの所に行きたい。すまん
一気に血の気が引いた。
すぐに電話をかけても、もう繋がらなかった。
涙は出ず、何故か妙に冷静に考えることができた。きっとニュースでは、横領したことがバレて自ら命を断った、と報道されるに違いない。確実にこの家にもマスコミが駆けつけてくる。
きっと、南くんは私を守ろうとするだろう。
でも……
私は自室に行き、便箋を取り出した。
電気は点けられない。
月の光だけを頼りに、ペンを走らせた。
続く
ふと、視線を感じた。
近所の人たちが私を見てヒソヒソと何かを話している。もしかしたら、もうニュースになっているのかもしれない…。逃げるように走って行くと、家の前にスーツを着た男の人が立っていた。
「あ、すみません。近所の方ですか?私、週刊○○の記者なんですが、こちらのお家の方のことを聞いて回っておりまして。何でも良いので知りませんか?こちらの家族の交友関係とか」
この人が近所の人にも色々聞いたんだなと、気付いた。
『私、友人の家に遊びに来ただけなので、この辺のこと知りません』
私は家を通り越して走った。
暫くして記者の人がいなくなったのを確認し、私は滑り込むように家に入った。電気を点ければ、家にいることがバレてしまう。私は暗い部屋で、ジッとソファーに座っていた。
さっき記者の人が言っていた、交友関係…。
南くんは度々家に来ていたし、近所の人に見られている可能性も高い。それに南くんのお父さんと父さんは、昔からの知り合いだ…。
グルグルと考えていると、メールの着信音が鳴った。画面には〝父さん〟の文字が表示されている。急いで開いてみると、そこにはこう書かれていた。
もう母さんの所に行きたい。すまん
一気に血の気が引いた。
すぐに電話をかけても、もう繋がらなかった。
涙は出ず、何故か妙に冷静に考えることができた。きっとニュースでは、横領したことがバレて自ら命を断った、と報道されるに違いない。確実にこの家にもマスコミが駆けつけてくる。
きっと、南くんは私を守ろうとするだろう。
でも……
私は自室に行き、便箋を取り出した。
電気は点けられない。
月の光だけを頼りに、ペンを走らせた。
続く