愛おしきチグハグ
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もうすぐ夏休み。
大学生の夏休みってやつは二ヶ月弱あって、こんなに長い夏休みは人生において今後二度と無いと思うと何をしようかワクワクするばかりだった。
でもその前に〝期末考査〟という全く可愛げの無いイベントが私たちを待っている。今日は試験前最後の日曜日で、流石にバイトを入れずただ黙々と問題を解きまくっていた。それにしても大学ってやつは、どうしてこうも科目が多いのだろう。この試験で合格点を取った所で将来何の役に立つのだろう。という風に試験に対する嫌悪感とも闘いながら、ペンを走らせた。
ふと時計を見るとお昼時を過ぎていて、それを認識した途端ぐぅとお腹が鳴った。病は気からじゃないけれど、人間ってやつはそんなに高等な生き物ではないのかもしれない。勝つか負けるかは別にして、欲に左右され過ぎるから。
集中力を欠いたため、ここでランチタイムにする事にしよう。実家から送られてきた素麺はあるけれど、茹でるのがめんどくさい…。カップラーメンは簡単だけど暑いし…。冷蔵庫の前に立ち考えていると、インターホンが鳴った。
もしかして、また実家からの荷物かも?!
『はぁい!』と勢い良く玄関を開けると、そこに立っていたのは彼氏の実理だった。結んでいるとはいえ、ウェーブのかかった長い髪が余計に暑苦しく見える。
『なぁんだ、実理か』
「なぁんだ、って何やねん!ちょ…とりあえず暑いから中入れてや」
実理は靴を脱ぎ、慣れたように洗面台に向かい手を洗う。実理用のうがいコップがある程、実理はうちによく来る。もう一緒に住んじゃえばとも思うが、自分たちのお金だけで生活している訳ではないため、それはお互い止めておこうということになっている。
「やっぱ勉強しとったか」
『そりゃあねぇ。実理はやらなくて大丈夫なの?』
「そらぁ、やらなアカンけど…ちょい涼んでからやな」
実理はエアコンの風が当たる所に立ち、パタパタと襟元を仰ぐ。チラリと見える鎖骨にドキッとしてしまった。
試験勉強で部屋に篭っていたから欲求不満にでもなっているのだろうか。
私は咄嗟に立ち上がり、キッチンに麦茶を取りに行った。ガラスのコップに冷え冷えの麦茶をトポトポと注ぐ。涼しげなその光景とは裏腹に、私の顔はどんどん熱くなる。料理する時に使うシュシュで髪を結び、首元に冷気を感じさせながら、私は麦茶を持って実理の所へ行った。
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