空に君を想う



『今日も雨かぁ…』


朝起きてカーテンを開ける時、必ず空を確認する。梅雨時だから仕方が無いものの、一日の始まりがどんよりとした空なのはテンションが上がらない。

天気予報を確認しながら支度をする。私が空を気にするようになったのは、恋人である木暮さんの影響だ。

木暮さんは会社の先輩で、笑顔が素敵な優しい人だ。彼は本社勤務、私は店舗勤務の為毎日会える訳ではないが、この空を木暮さんも見ていると思えば頑張れた。

デートはイベントや買い物、レジャーなどは勿論行くが、公園や知らない街をブラブラと散歩する事も多い。その時に木暮さんが「今日は空が綺麗だなぁ」と眩しそうに目を細めて空を見上げる横顔が大好きだ。


「同じ青でも季節や時間によって違うんだよな。全く同じ空は二度と無いって思うと、特別な感じがするだろ?」


木暮さんのこの素敵な言葉によって、私も空をよく観察するようになった。


今日は会議の為、午後から本社に行く事になっている。忙しいのは分かっているが、少しでも顔を見られたら良いなぁ…と思いながら、私は傘を手に取り家を出た。




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