青い春を渡る
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「エリザベータちゃん、久しぶりやねぇ。驚いたわ。すっかりお姉さんやん」
彼女は僕の従姉妹のエリザベータ。母親同士が姉妹で、幼い頃はよく一緒に遊んでいた。会うのはかなり久しぶりで、平静を装う事は出来たものの、正直めちゃくちゃ可愛くなっていて動揺してしまった。
『あっちゃんて今、東京の大学行きよるんやろ?東京の生活ってどんな感じ?』
曇りなき目で真っ直ぐに僕を見つめながらエリザベータはそう言った。もしかしてエリザベータも東京の大学に進学したいのだろうか。
どんな事を勉強したいのか、将来何になりたいのか、高校は楽しいか…聞きたい事は山程あるが、このお喋りおばさんたちに聞かれたら確実に話のネタにされてしまう。上手く言葉を選ばなければと思っていると、またしても知らないおっちゃんが話に入ってきた。
「東京っちゅーのはなぁ、欲望の街や。何でもあんねんで?淳も綺麗なボインの姉ちゃんにデレデレしとんちゃうか?ガハハハ!」
「おっちゃん、飲み過ぎやで?あっちで休んどきや」
僕はそのおっちゃんをエリザベータから引き離そうと、促した。その時、エリザベータの表情がみるみる怒りモードに変わっていき、勢い良く声が飛び出した。
『あっちゃんはバスケする為に東京に行ったんや!そんなん冗談でも言わんといて!!』
突然大きな声を出した為、周りの視線が一気に突き刺さった。そのおっちゃんは罰が悪くなったのか、何も言わずにその場からいなくなってしまった。取り残されたエリザベータは、怒りと恥ずかしさで泣き出しそうになっていた。
「あっちで話そか」
僕はエリザベータの手を取り、縁側に移動した。そういえば、小さい頃はよくこうして手を繋いで歩いてたっけ。思い出が心の隙間を埋めるように、ポンポンとフラッシュバックしてくる。『あっちゃん』と少し遠慮がちに僕を呼ぶのも変わっていない。
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