ネイビーは白を鮮やかに映す
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すっかり陽が落ち始めていて、漫画みたいにカラスがカーカー鳴いている。柔らかい光が遠くまで伸び、写真みたいに綺麗だった。
「さっき俺の事ガン見しとったな」
『う…やっぱバレたか…。だってさ、烈がかっこ良いんだもん』
「ようそんなん言うわ」
ハハッと困ったように笑う烈に夕陽が刺す。綺麗な横顔に、幸せな気持ちが止まらなくなる。
『初めてだよね。二人でこういうの買うの』
「ん?ああ、そういやそうかもしれへんな」
『ね、袋さ、片方持っても良い?』
「…ええけど、どないしたん?」
『なんか、幸せだなぁって思ってさ。私と烈が生活を作ってるっていうか…』
烈は「ふーん」と声を漏らしながらも、少しだけ嬉しそうな顔をしていた。そして袋の持ち手の片方を渡され、身長差で少し斜めになりながらブラブラと箱は揺れていた。
夕陽で伸びる二人の影の間に、変な形の影が揺れている。
歪な形のそれが、私たちに新しい生活を与えてくれる。それが何よりの幸せだと思えた。
「ほな、帰ったら早速使ってみなアカンな」
『うん。お風呂上がりに涼もう』
「…それもええけど、その前に一汗かくのもええんちゃう?ポーッと見つめられて我慢出来ひんねん」
『……エッチ』
この影みたいにぼんやりでも良いから、烈との幸せな生活が続きますようにと遠くの空に願ってみる。
同棲してちょうど一年、二人で買った扇風機が我が家にやって来た日の事だった。
おわり
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