ネイビーは白を鮮やかに映す
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五月ともなれば、日中は少し窓を開けて風が通るくらいがちょうど良い。
逆に言えば、窓を閉め切ってしまうと汗ばむくらいという事だ。
その日は珍しくまだ午前中の明るい内から盛り上がってしまい、今まさに力が抜け切って動けずにいるところだ。
付き合って二年、同棲を始めてちょうど一年経つ。生まれたまんまの姿を見せ合うのにも、随分と慣れたものだ。
「大丈夫か?」
烈が乱れた私の前髪を撫でながら言う。そんな烈の前髪もあっちこっち流れていて、いつもより少し幼く見えるのが愛おしい。私だけが見られる、可愛い恋人の姿につい笑みが溢れてしまう。
『平気。あっついから窓開けよ』
タオルケットを肩に掛けたまま、ベッドの横の大きな窓を開ける。見るからに爽やかな青空が広がっていたが、どうやら風が無いようであまり涼しくならない。
『風あんまり入って来ないな…扇風機つけよっか』
昨晩のお風呂上がりにも大活躍した、お気に入りのネイビーの扇風機は私が一人で住んでいる時に買った物だ。コンセントを差し込み、スイッチを押す…が、全く作動しない。
『あれ…おかしいな。昨日は普通に使えたのに…』
烈も近付いて来て操作してみるが、動く気配は無かった。
「壊れたな」
『わー、マジか。まあでも、買ったの学生の時だからなぁ…』
考えてみれば結構な月日が経っていて、天命を全うしたと言っても良いくらいは動いたと思う。何だか少し寂しい気がしてぼんやりと扇風機を眺めていると、烈が近くにあった雑誌を団扇のようにして私を仰いだ。
『ふふっ…』
「何で笑うねん」
『烈、優しいなぁと思って』
思った事を言うと、烈は優しくキスをくれた。いきなりの事に少し戸惑うと、烈は微笑んで言った。
「ぽーる、可愛えなぁ思て」
こういう不意打ちは未だに慣れない。かっこ良すぎてどうにかなってしまいそうだ。
「…これから、新しいのん買いに行くか?」
『うん。行く!』
そんな訳で、今日の予定は急遽電気屋さんデートになったのだった。
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