Certified Stalker.
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翌日
深津はいつものように登校する。学校が近付いてきた時にふと思った。
校門前におりおがいなかったら…?
付き纏われるのが当たり前になってしまった今、急に無くなってしまうと自分はどうなってしまうのだろう。
ネガティブなのかポジティブなのかよく分からない気持ちが歯痒い。角を曲がると校門に差し掛かる。ゆっくり一歩を踏み出すと、そこにはおりおの姿があった。
『深津先輩!おはようございます!』
深津を見つけると大きな声で名前を呼び、大きく手を振るいつものおりおがいた。その姿を見て、深津はホッとした気持ちになった。
『昨日、法事でどうしても家族で行かなきゃいけなくて練習見に来られなかったんです!もー!後でどんなだったか沢北くんに聞きますねっ!』
「…いや、聞かなくて良いピョン。俺が教えてやるピョン」
『え?!せ、先輩自らですか?!』
「今日は特別だピョン。君が公認ストーカーになってちょうど一年だから」
おりおは驚いているのか、何も言えずただコクコクと大きく頷いた。深津はそのまま話を続ける。
「昨日は君がいない事が気になってミスばっかりだったピョン。今日もここに来ないんじゃないかなんて考えてしまってたピョン」
深津がそう言うと、おりおは顔を真っ赤にし、何と返答すべきか分からず口をパクパクしていた。そのマヌケな姿が愛おしくて、深津は思わず笑ってしまう。
「来週から夏の県予選が始まるピョン。今年も優勝するために、君に観に来て欲しいピョン」
『えっ…あの…もちろん行くつもりでしたけど…!先輩に直接そう言って頂けるだなんて…嬉しいです…!』
泣き出すのではないかというくらいおりおは喜んでいた。深津はもう自分の気持ちに迷いは無い事を悟った。
「今年のインターハイは広島だピョン」
『広島でもシベリアでも応援に行きます!』
「…それが終わったら覚悟するピョン」
『えっ…?!覚…?ど、どういう意味ですか…?』
「どうもこうも、意味は一つしか無いピョン」
深津は微笑みながらその場を去った。おりおは暫く動けず、遠くなっていく深津の背中を見ていた。そして勇気を振り絞り、声を発する。
『先ぱーい!私、自惚れちゃっても良いですかぁー!!』
部活の右手がスッと上がる。おりおは『うそぉ…!』と言いながら腰を抜かしてしまった。
全部終わったら、ちゃんと言うんだ。
ストーカーじゃなくて、恋人になって欲しいと。
高校最後の夏は、いつもと違う未来が待っている気がした。
おわり
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