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そんな自分の経験から、藤真は息子に自分と同じような思いをして欲しくないといつも思っていた。しかし、息子はどう見ても藤真によく似ていたのだった。
『健司も優しいじゃん。それにハッキリ物を言える所が私に無い所で羨ましいよ』
柔らかく微笑みながらchococoは言った。その髪を藤真は優しく撫でる。子どもが産まれてから生活が大きく変わった。全て子ども中心で、自分たちの時間なんて取れない。少し疲れているchococoを見ると、何だか妙に触れたくなり、咄嗟に抱きしめた。
『健司…?』
「いつも本当にありがとな」
『え、何?どうしちゃったの…?』
普段あまりこういう風に気持ちを言葉にする事は少ない。それでも今日は、長男が産まれた日の事を思い、こんなに大きく育ったのはやはりchococoの存在があってこそだと改めて感じたのだ。
「俺さ、お前と家族になれて本当に良かったよ。仕事は相変わらず嫌な事ばっかだけど、家に帰ってくるとホッとする」
『…そっかぁ。嬉しいな。私も健司と家族になれて幸せだよ』
chococoは藤真の背中に腕を回し、ギュッとしがみ付いた。
『健司はさ、自分の事悪く言うけど、私は周りに流されないで自分の意思を貫く所が好きなんだ。あの子にもそういう人になって欲しいって思ってるんだから』
chococoの言葉に藤真は胸を打たれた。そんな風に思っていた事に驚いたが、本当にこの人を選んで良かったと心の底から思えた。
「…なんか良いよな、家族って」
『うん。こんなに良いものだったなんて知らなかった』
藤真はそのままchococoを押し倒し、顔の横に両手をつく体制になる。
「…そろそろ、二人目も良いんじゃねーの?」
『えっ…!ちょっ…健司っ……』
ニヤリと笑った藤真は、chococoの返事も聞かず、白い首筋にキスを落とした。
「…ありがとな」
藤真の声が小さく響く。
夜はまだ、これから。
おわり
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