ピオニーが香る
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烈の言葉が気になってしまい、その日はあまり仕事に集中出来なかったため、私もいつもより早く帰ることにした。
家に帰ると私の方が早くて、何だか少し恥ずかしくなった。夕食の支度でも始めようとキッチンに立つと、ガチャンッと鍵が開く音がした。本当にめっちゃ早いやん…。
そして、リビングに入ってきた烈は私を見ると声は出さなかったもののかなり驚いたようで、咄嗟に何かを背中の後ろに隠した。
「…お前、早いやんけ」
『いや、烈が早く帰るって言うから気になっちゃって…』
もしかして、一人の秘密の時間を過ごそうとしていたのだろうか。わざわざ宣告したのも、一人にしてくれという意味だったのかもしれない。
どうして良いか分からずにいると、烈が私の顎に手を掛け、グイッと横を向かせた。
「今日、何月何日や」
『…5月13日?』
「何の日か覚えてるか?」
『…ゴイミ…え…何やろ…』
「やっぱ忘れとったか…」
烈はそのまま私の顔を自分の方に向かせ、ジッと目を見つめた。そしてフッと表情を緩めたと思うと、背中に隠していた物をパッと目の前に出した。それは、丸くてふわふわの一輪の花だった。
「結婚記念日やろーが」
『えっ…?あ…!!そうやったっけ?!』
思わずマヌケな声を出すと、烈は目を細めた。
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