五月晴れの下を君と。
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──が、
「ハハ…どこも満室だね」
連休で浮かれているのはホテル街も一緒だった。これは想定していなかった事態だ。彼女と会う時は、あのバーでほろ酔い気分になり、ホテル街に消える事以外した事が無い。
でもここで解散してしまうのも、何だか寂しい気がした。
「どうしよっか。飲み直す?」
『ううん。そんな気を使わなくて良いよ。用無しだし、帰るね』
彼女は言葉に似合わない可愛らしい笑顔でそう言い、立ち去ろうと向きを変えるとワンピースの裾と綺麗な髪がふわりと靡いた。
その一瞬が、凄く綺麗だと思った。
そして、気付けば俺は名字さんの細くて折れそうな腕を掴んでいた。お互い驚いたように見つめ合う。
「用無しって…どういう事?」
『…だって、シたくて私を呼んだんでしょう?』
「いや…それなら飲み直そうなんて言わないよ」
『……じゃあ、どうして…?』
あれ、何だろう。名字さんの顔がはっきりと見える。
さっきの一瞬で何かが変わったのだろうか。
「したいから会うんじゃなくて、会いたいから会うんだ。連絡する時はいつも〝もう一度だけ〟って思うんだ。自信が無いからさ…」
本当は今以上の関係になりたいと思っていると分かっていた。でも、自分で視界を曇らせていた。名字さんに恋人として見て貰える自信が無かったから。
『私は例え身体目的でも、連絡が貰えると嬉しかったよ。私も自信なんて無いもん…』
名字さんは初めて見る表情をしていた。困ったような、嬉しそうな、見ていると胸が締め付けられる。
「それならさ、〝もう一度だけ〟を何回もやろうか」
そう言うと、名字さんは柔らかい笑顔で頷いた。華やかで、でもどこか凛としていて、やっぱりあのカクテルみたいだと思った。
「何それ…可愛すぎ…」
『えっ…いや……ごめ…なさいっ!』
「何で謝んのさ」
〝もう一度だけ〟を何回もやろう。
そういう運命にしてしまおう。
初めて出会ったあの日から、恋をしていたのかもしれない。
ダメな自分にサヨナラ出来た気がするから、今度は名字さんと苦手な五月晴れの空の下を歩く事から始めてみようかな。
連休はまだ始まったばかりだからね。
おわり
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