鯉のぼりに願いを
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『10個、見つけられ無かったね…』
「……」
ノブは何も言わなかった。何だか私まで悔しくなってきてしまう。
そして家の前に着いた時だった。
ノブの家の庭で大きな鯉のぼりが泳いでいたのだ。パタパタと風に靡き、優雅に揺れている。さっき家を出た時は無かったのに…。
「…これで10個だな」
『ノブ…これって…』
「10個見つけたらお前に言いたい事があったんだよ」
『えっ…な、何…?』
もう全てがノブの計画だったんだと気付いてしまい、何故か分からないが涙が溢れてきた。
「な、何で泣いてんだよっ…!」
『ごめ……分かんな…い…』
感情が高ぶり、止める事が出来ない。次にノブが言おうとしている事は、きっと私がずっと胸にしまい込んでいた事だと思うから。
そして次の瞬間、腕を引かれ、私はノブの胸の中にいた。
「そんな顔させたくてこんな事したんじゃねーんだ。俺は名前の笑った顔が見てぇ」
ノブは私の顔を覗き込むように屈んだ。いつの間にこんなに身長差が出来ていたんだろう。
「俺は名前が、好きだ」
それは、心の何処かでずっと待ち焦がれていた言葉だった。
そして、私はノブを好きだという気持ちにずっと蓋をしていた気がする。
蓋が必要なくなった今、胸の鼓動はとんどん速く、高くなっていく。
『私も、ずっと好きだったの…』
勇気を振り絞って言うと、ノブは驚いたように私を見た。
「マ、マジ?!」
『マジマジ。ノブがお母さんに鯉のぼり出しておいてってお願いしてたのも知ってる』
「マジかよ!!」
これはカマを掛けたのだが、やっぱりそうだったんだ…。
『ノブのそういうトコ、好き』
「お、おう!俺もだ!…あれ?」
『ブッ…!何よそれー!』
あのルートに鯉のぼりが9個あると事前に調べていた、ということは聞かないであげようかな。
風が吹き、鯉のぼりが旗めく。
ノブが掛けた願いが叶ったよ、と知らせるように。
おわり
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