罰にならない罰
NAME CHANGE
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名字は同じ学年らしいが、俺は知らなかった。妙に色白で、黒くて艶々した髪の毛が印象的だ。一見クールな雰囲気だが、掃除に行った初日、俺を見るなり『ホンマに本棚の上まで届きそうやん』と吹き出した笑顔があまりにもギャップがあって、正直ええなと思ってしまった。
しかし、さすがの俺でも本当に本棚の上に届く訳が無く梯子を使った。その様子を下から名字がジッと見つめる。
『これ、スカートやったらパンツもろ見えやん』
「ブッ…!笑かすな!落ちたらどないすんねん」
『アハハハハ!華麗にお姫様抱っこしてみせたるわ』
話せば話す程オモロイ奴だと分かり、いつしか図書室で名字に会うのが楽しみになっていた。
今日も俺は本棚のゴミをはらう。今日は図鑑の棚らしい。
『岸本が好きそうな図鑑あるで』
「え、どんなん?」
『SF怪獣図鑑』
「うお!ええやん!」
『ほな取っとくな』
名字が背伸びして図鑑に手を掛け、引っ張り出そうとするがビッシリ詰め込まれているせいか出てこないようだった。
『あれ…取られへん』
「あーもう、しゃーないな。取ったるやん」
梯子から降り、最後の一段になった所でズルンッと足を踏み外してしまった。バランスを崩した俺は尻もちをついてしまう。
「…痛ってぇ……」
『だ、大丈夫?!』
すぐに名字が駆け寄って来て、心配そうにしている。
「お前、お姫様抱っこはどないしてん」
『あ……せやった…』
俺の様子を見て大丈夫だと分かったのか、名字は安心したように笑った。その気の抜けた微笑みが可愛くて、つい目を逸らしてしまう。
『なーに照れとん』
「いや……可愛いなぁ思て…」
『……ちゅー、する?』
「……する」
今度は誘うような目で俺を見つめる。触れた唇が薄くて、柔らかくてクラクラしてしまう。
ゆっくりと離れると、名字はもう雌の顔になっていて、触れても良いのかなんて確認しなくても分かるくらいだった。
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