フェノールフタレインは二滴くらいで
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「387」
『へっ…?』
「記録、してや」
『あ…はい。私鈍臭いからこんなにテキパキ出来んかったかも…』
思わず本音が漏れてしまい、ハッと我に帰る。もしかしたら南くんは私の鈍臭さにイラついていつも冷たい態度なのかもしれない。そう思うと何だか急に申し訳ない気持ちでいっぱいになってきた。
『南くん、ごめんな』
「は?何が?」
『いつも私が鈍臭いからイラついて冷たいんやろ?』
そう言うと、南くんの顔はみるみる赤くなっていき、耳まで真っ赤になっていた。
あれ…?もしかして…。
『…好きな子、いじめるタイプ…?』
「いやっ…いじめ…っちゅーか……照れて上手く話されへんタイプ…やな…」
声だけ聞くと冷静だが、かなり動揺しているようだった。
なぁんだ…可愛い所あるやん…!
人間というのは実に不思議で、さっきまで苦手だった目の前の人物に愛すべき事象を見つけると、急に愛おしくなってしまうのだ。
『私は、もっと普通にお喋りしてみたいな』
「……っ……おう…せやな…」
今日の実験は中和滴定。
液がピンク色に着色する中和点を見つける事が目的だ。
中和点を見つけるより早く、私の心と頬がピンク色に染まってしまいそうなのは、まだ南くんには内緒にしておこうと思う。
私が彼を気にしてきたのは、そういうことだったのかもしれない。
来週はどんな実験をしようかな。
おわり
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