フェノールフタレインは二滴くらいで
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薬学部に入ったものの、一、二年の内は基礎科目ばかりで全く薬学生である実感が無かった。ようやく三年生になり、いよいよ専門科目の講義が始まる。座学だけでなく、実験もあり、やっと薬学生らしくなってきた!と、浮かれていられたのはほんの僅かな時間だけだった。
講義が始まってすぐに、実験班の割り当て表が配られた。私と同じ班には、あの南烈の名前があったのだ。
南烈とは見た目はシュッとしていてクールで男前だが、クールを拗らせているのか無愛想でほとんど喋らず、話しぶりもかなり冷たい。その近寄んなオーラが彼を余計に神秘的に見せ、女子の間では結構ファンも多かったりする。
私も一度だけ、話し掛けた事がある。
講義が終わり、教室を出ようとした南くんが席に上着を忘れている事に気が付いた時だった。
『南くん、上着忘れとるよ』
良かれと思って上着を席から持ってきて渡した。下心なんて微塵も無かった。それなのに、南くんはギューッと眉間に皺を寄せ、上着をサッと取り上げ小さく一言「どーも」と言って立ち去ってしまったのだ。
は…?何それ…感じ悪っ……。
誰にでも基本的に愛想が無いとは言え、眉間に皺を寄せたのは初めて見た。機嫌が悪いのか何なのか知らないけれど、それは無いんじゃないの…?
それから、何度か南くんが女の子に話し掛けられるのを見かけても、眉間に皺を寄せたりすぐ立ち去ったりする事は無かった。
もしかして私、嫌われてる…?
それ以降、時々睨まれている気さえしていた。そんな人と半年間同じ班だなんて…。実験について議論したり、考察したりするはずだけど、どうなってしまうのだろう…。
私の夢見た薬学生ライフは思った以上にスムーズにいかないようだ。
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