頬に、額に、桜咲く
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「桜の開花はピークを迎えており、まさに今が満開です。是非お出かけしてみてはいかがでしょうか」
綺麗なお天気お姉さんが、テレビの向こうでそう言っている。
あの日から二週間くらい経った。
四月に入り、私はなんと新入社員の教育係に任命されてしまったのだ。まだ大学を出たばかりのイマドキの男の子が、毎日ピカピカのスーツを着て希望に満ちた笑顔を向けてくる。
やる気のある子で良いには良いのだが、これから待ち受けている社会の荒波ってやつを味わった時、果たして耐えられるのだろうかと思えるくらい素直で良い子だ。
電車を降りて会社に向かう途中、たまたまその新人くんに遭遇した。必然的に一緒に歩くことになる。
「桜、満開らしいですねっ!名字さんはお花見しましたか?」
『あー…まぁ、一応した…かな…』
満開では無かったけれど、あの日、三井先輩とお花見をした。どちらかと言えば、三井先輩を主に見てたけど…。
自分の気持ちに気付いてから、三井先輩を見るとドキドキしてしまう。気持ちを表に出さないように、自然に振る舞うことは出来ているつもりだ。
先輩は覚えているだろうか。
桜が満開になったら、またあの公園に行くと約束した事を。
あの日は疲れ切っていたし、お酒も飲んでいたから確実に覚えている補償は無いし、先輩は本気の約束と思っていないかもしれない。
隣りを歩く新人くんが何やら楽しそうに話しているけれど、正直全く耳に入って来なくて、ただテキトーに相槌を打ちながらビル街を歩いた。
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