Eternal grain
「クールに煙草を吸ってる子がいるなと思ったら、意外と礼儀正しくて。そしてカレーパーティーでは美味そうにカレーを頬張ってた。全部可愛いと思ったよ。だから、〝私なんか〟なんて言うなよ」
先輩の言葉が、声が、私の身体にじわ〜っと染み込んでくる。
そんな風に思ってくれていただなんて…。
心が、指先が、ぽかぽかと温かくなってくる。
『花形先輩、ベタ惚れじゃないですか』
「そうなんだ。だから良い返事が貰えて嬉しいよ」
そう言って花形先輩は何かを差し出した。手のひらで受け取ると、一粒のキャンディだった。そして、またしても魔法にかけられてしまう。
そのキャンディは、赤いハートの形をしていたから。
『先輩、素敵すぎです…』
口に入れたキャンディは甘くて少し酸っぱくて、恋の始まりにぴったりの味だった。
きっともう、この甘い魔法が解けることはない。
おわり
あとがき→