Eternal grain


ハートのにんじんの魔法を掛けられてから、一週間くらいが過ぎた。


「これが俺の気持ちだから、よく味わって食べてな。返事はそれからで良い」


あの日の花形先輩の言葉が、声が、表情が、頭から離れない。もしかしたら、虜にする呪文だったのだろうか。


返事…しなきゃだよね…?


もちろん、こんな私で良ければ…とモジモジしながら言いたいけれど、あれって愛の告白っていう理解で良いんだよね…?

でも、もし万が一間違ってたとしたら…?

そもそも、あの優しくてかっこ良い花形先輩が本当に私の事を…?


急激に自信が無くなり、不安が押し寄せてくる。


よし、とりあえず煙草でも吸おう…。


そう思い、喫煙所に向かう途中、なんとバッタリと花形先輩に遭遇してしまったのだ。

先輩はいつもと変わらず優しく微笑んでいて、私はあからさまに焦りながらペコリと会釈した。




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