3月21日
私たちはコンビニでお酒とおつまみを買って桜の木がある公園に向かった。まだ咲き始めたばかりだけど、夜空に白く浮き出て見えて綺麗だった。
「じゃ、今日はお疲れ」
『あ…お疲れ様でした』
プシュッとキレの良い音で蓋が開き、続けてポコンッと缶がぶつかる音が響く。ビールを美味しそうにグーッと飲む三井先輩の横顔とか、喉仏とか、もう何か色々とかっこよくて急に心臓がバクバクし始める。
あれ?いつもの事でしょう?疲れてるからな…?
よく分からない感情に戸惑いながら、私もグーッとビールを飲んだ。炭酸が喉を刺激しながら流れていく爽快感より心臓のバクバクを強く感じてしまい、もう美味しいのかどうかよく分からなかった。
「桜って何で満開じゃなくても綺麗なんだろうな」
『な、何ででしょうねぇ…』
「何だよ、急に大人しくなって。ほら、ツマミ食え」
差し出されたおつまみを一つ手に取り、味も良く分からないままガブガブとスルメを噛む。
何の話だったっけ…?あぁ、桜ね、桜。確かに満開じゃなくても桜って綺麗だもんね。
あれ…?それって…。
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