お焦げ抗議
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その後も楓は至って普通で、少し焦げた鮭も美味しそうに頬張っていた。あまりにも普段通りな楓を見ていると、やっぱり敵わないなぁ…なんて思ってしまい、ついついニコニコしてしまう。
「…どーした?笑ってるけど」
『あ、ううん。美味しいなぁと思って…』
「フッ…自分で作って褒めんのか」
『いいでしょ、美味しいんだからっ』
「…そーゆーとこ、可愛いと思う」
不意を突かれ、私の心臓はギューッと鷲掴みにされたように切ない動きをする。付き合ってだいぶ月日は経つけれど、未だにこうしてときめく事が出来るのは幸せな事なのかもしれない。
食べ終えて、温かいジャスミンティーを飲んでいると、ついウトウトしてしまう。何だかんだでめちゃくちゃ早くから起きていたせいか、お腹が満たされると急に睡魔がやってきた。
「名前、眠いのか?」
『うー…だって楓が起こすからさぁ…』
「む…?あの時、起きてたのか…?」
しまった…!
と思った時にはもう遅くて、私はあっという間に楓に抱えられ、ポイッとベッドに投げ出されていた。
『えっ…ちょ…まだ片付けが…』
「後で良い。すげー我慢したんだぞ、俺」
『ゴメンて…!謝るからぁ!』
「……どあほう」
ドキドキしてたのは私だけじゃなかったんだなぁ、としみじみ感じる間もなく、楓の深くて熱いキスが降ってきた。
何の予定も無い休日だったけれど、楓の愛をたくさん貰えた素敵な休日になった。
今度は上手く焼けた方の魚を食べさせてあげるからね。
もちろん、焦げた魚が小さな抗議だった事は楓には内緒だけど。
腕の中から見上げる楓の寝顔が凄く幸せそうで、ギュッとしがみ付いて私も目を閉じた。
おわり
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