凍える身体を温めて


凍える身体を温めて(宮城ver.)


『宮城くん、おはよう!』

「あっ…お、おはよう!」


最近、付き合い始めた彼女と毎朝登校している。帰りは部活で遅くなり、なかなか時間が取れないからだ。


『今日、寒いよね。体育やりたくないなぁ〜』


口を尖らせて話す彼女も可愛い。体育は好きだけど彼女がやりたくないなら一緒にサボったって良い。


『宮城くんのマフラー、あったかそうだね!それにすっごくお洒落!』


寒いからか、いつもよりうるうるとしている彼女の瞳に俺が映っている。そんな目に見つめられて、自分を抑えることなんて出来っこない。でも今は制服を着ていて、しかも登校中…!朝から盛るなんて彼女に嫌われてしまう。


どうする…?


そうだ…!目がうるうるしなければ良いんだ…!


俺は咄嗟に自分のマフラーを取り、彼女の頭を覆うように被せた。しかし、あまりにも急なことで彼女はただキョトンとするばかりだった。


『……』

「ご、ごめん!あの…その…」

『ありがとう、宮城くん』

「えっ…?」

『見た目以上にあったかいね、このマフラー』


ヘニャッととろけるような笑顔で彼女は笑った。


「あーっ!もうホント好きっ!何?!可愛過ぎっ!!天使だよ、天使っ!!」

『や、やだ…そんなこと…』



その後、彼女が返してくれたマフラーからシャンプーのにおいがして、色々と耐えるのが大変だったことは、もちろん彼女には内緒だ。



おわり

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