凍える身体を温めて


凍える身体を温めて(安田ver.)


「いらっしゃい!寒かっただろ?上がって?」


幼なじみのやっちゃんとは別々の高校になってしまったけれど、こうしてどちらかの家で話をするのが私たちの休日の過ごし方だ。


『今年は本当に寒いね〜。コタツ、コタツ♪』


やっちゃんの部屋には炬燵がある。冷え切った身体には天国だ。最近では、炬燵に入って縮こまっているやっちゃんを何だか可愛いと思う自分がいる。

私が炬燵に脚を入れて座ると、やっちゃんは炬燵には入らず、普通にクッションを敷いて座り始めた。


『やっちゃん、コタツ入らないの?あったかいよ?』

「えっ…いや…2人入ると狭いかなぁ〜…なんて…」

『何言ってるの?いつも入ってるでしょう?』


炬燵布団を捲り、入るように促すと、やっちゃんは恥ずかしそうに目を逸らした。


「…っ…今日のスカート…ちょっと…短くない?」

『へっ?』

「な…なんか…意識しちゃってさ…炬燵にその脚が入ってると思うと…何て言うか…あの…」


モジモジと話すやっちゃんが可愛くて、思わず私も照れてしまう。


『このスカート、やっちゃんに少しでも可愛いって思われたくて履いて来たんだけどな…』

「えっ?!そ、そう…なの…?」 


黙ってコクリと頷けば、やっちゃんはさっきよりも顔を真っ赤にして拳をグッと握った。そしてバッと立ち上がり、私の隣りに座って炬燵に脚を入れた。


「…ホントだ。あったかいや」

『2人で入るともっとあったかいね』

「…もう少し、くっついて良い?」

『…うん』


炬燵の中に入れた脚より、やっちゃんの肩が触れた所の方が何百倍も暖かかった。



おわり
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