凍える身体を温めて
凍える身体を温めて(藤真ver.)
「おい、ラーメン食いに行くぞ」
部活が終わった後、藤真さんは私の返事なんぞ聞く気もなく、ズンズンと先を歩いて行く。
部活の時はマネージャーとしてキャプテンの指示に従うけれど、部活外でも何でもかんでも聞くと思ったら大間違いだ。
『ちょっ…藤真さん!私、行くって言ってないですけど?!』
「行かないとも言ってないだろ」
た、確かに…!
いやいやいや!ここは負けちゃダメだ。今日こそ聞くんだ。どうしていつも私に構うのかって。
『あの…藤真さんっ!何でいつも私を誘うんですか?花形さんとか長谷川さんと行った方が楽しいんじゃ…?』
ダメだ。いざ言うとなれば、あまり強気に聞けない。チキンな自分が情けない…。
藤真さんはズンズン進んでいた脚を止め、私の方を振り向いた。
「何でって…お前と食う飯が美味いからだよ」
『え…?私と…?』
どういうことか分からず、ポカンとしていると藤真さんは髪の毛をグシャッと掴み、少し顔を赤らめて言った。
「好きな奴と食うから美味いんだよ。分かったか!」
『は、はい……え?!ちょ…今何て…?!』
「一回しか言わない」
『えぇ〜!もう一回だけ〜!』
その後食べたラーメンは、ドキドキし過ぎて全く味が分からなかったのは、藤真さんにはナイショにしておこう。
おわり