凍える身体を温めて


凍える身体を温めて(三井ver.)


「ほら、出来たぞ〜」

『食欲、無い…』


数年ぶりに風邪を引いた。しかも、結構重い感じの…。このスーパー健康優良児の私が…!小中高と皆勤賞だった、この私が…!

そして今日は彼氏の三井くんが看病に来てくれている。しかも、お粥を作ってくれたようだ。


「ちょっとでも食わなきゃ体力持たねーぞ」

『…三井くん、なんか手慣れてる…?』


そりゃあこんなに爽やかなイケメンだもん。今まで付き合った彼女の一人や二人はいるだろう。その人たちにもこうやってお世話をしていたのだろうか。お粥を食べさせたり、身体の汗を拭いたり…。ああ駄目だ…弱っているせいかネガティブな事ばかり考えてしまう…。

私は布団を頭から被り、三井くんに背中を向けた。


「なーに、いじけてんだよ。どうせロクな事考えてねーんだろ?」

『べ、別に…?』

「言っとくけど、手慣れてんのはよく弟たちの面倒見てたからだよ。他にはした事ねぇし」


私は布団から少しだけ顔を出し、三井くんを見た。


『な、何で私の考えてる事、分かったの…?』

「声に出てた」

『え゛っ』


は、恥ずかしいっ……風邪って怖い…!

布団の中でバタバタと暴れていると、三井くんが私の手をそっと握った。


「手、冷てぇな…まだ熱上がり切ってねーか。おい、大人しくしてろよ?それにな、お前は俺の初めての彼女なんだから、世話すんのはお前が初めてだ!分かったら寝てろ!!」

『は、はい…』


その後、三井くんはずっと私の手を握ってくれていた。


たまには風邪も良いなぁ…なんて思いながら、私はゆっくりと目を閉じた。



おわり

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