春、別れの季節。
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ずっと好きでした…!ここで初めて会った時から」
風が名前さんの制服のスカートを靡かせる。
明日からはもう着なくなってしまうというのに。
俺の言葉を聞くと、名前さんは一瞬驚いていたようだが、すぐに柔らかく目を細めた。
『私なんかで良いの…?』
「〝なんか〟って言わないで下さいよ。名前さんが良いんす」
『ありがとう。私も今日、清田に気持ち伝えなきゃって思ってたんだけど、先越されちゃったなぁ』
「ええっ…?!マジっすか?!」
『アハハ。マジだよ〜』
名前さんも俺の事が好きだったって事だよな…?
頭の中で再確認すると、今まで以上に愛おしい感情が沸き上がってきて、飛び跳ねたい程嬉しくなった。
名前さんには本当に色んな感情を教えて貰った。
その中でも一番は、やっぱり…。
「俺、名前さんのおでこ、可愛くて好きっす」
『え?何それ〜!マニアック〜』
その時、額をおさえながら楽しそうに笑う名前さんの上に桜の花びらが舞い落ちてきた。
黒い髪、赤いリボン、白い肌
桜に負けないくらい綺麗だ。
儚く消えてしまいそうで、思わず俺は名前さんの腕を引き、抱き締めていた。
これからは毎日会えなくなるのか…。
『ちょ…清田っ…苦しいよっ…!』
名前さんの声で我にかえり、いきなり触れてしまった事に慌ててしまう。
「うわっ…す、すみませんっ!あの…俺…っ…」
名前さんはキョトンとした後、フッと笑みを見せ、俺の胸に抱き着いてきた。大好きな額が物凄く近い。
『大学で待ってるからね。インターハイ、次は勝ってよ?』
「…任せとけってんだ」
俺は名前さんのこういう優しいところも大好きだ。
前髪を上げて大好きな額にキスを落としたら、どんな顔をするのだろう。
いっそ桜の花でも、くっついてくれたら良いのに。
昨日までのウジウジしていた自分はもういない。
今度は新しい関係の二人が始まるから。
春、別れの季節。
おわり
あとがき→